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 住宅の外壁仕上げで「乾式仕上げ」というのは、工場生産のパネル状仕上げ材を用いる場合を指します。どこでも見かけるサイディング外壁は、その代表例です。乾式仕上げの外壁で、雨漏り対策を考えるうえで注意を要するポイントをいくつか説明します。

 2009年10月に住宅瑕疵(かし)担保履行法が本格施行されて以降、全ての新築住宅には住宅瑕疵担保責任保険(以下、瑕疵保険)への加入などが義務付けられました。瑕疵保険を提供・運用する住宅瑕疵担保責任保険法人(以下、保険法人)は保険契約の前提となる設計施工基準を用意しています。

 新築住宅の設計や施工はこれら保険法人の設計施工基準を満たしていなければなりません(保険法人の設計施工基準については、本講座の第2回および第3回講義で少し触れました)。雨仕舞いや防水施工についても、設計施工基準をベースとするのが一般的です。

 乾式仕上げの外壁に関して、主要な保険法人の設計施工基準は、第3回講義で説明した「外壁通気工法」の採用を原則としています。外壁仕上げ材(1次防水層)であるサイディング材のひび割れ・破損や接合部の目地割れなどから雨水が浸入しても、通気層内側の透湿防水シート(2次防水層)で阻み、浸入雨水を通気層から屋外に排出する工法です。

 主要な保険法人の設計施工基準で、サイディング材の施工に関して挙げている寸法などの例をいくつか挙げてみます。例えば、サイディング材の左右両端、つまりサイディング材同士の接合部に当たる胴縁(第3回講義で説明した通気層の胴縁)は、下の図のように、幅90mm以上。サイディング材をくぎやビスで留め付ける際には、材面の留め付け位置を材の周縁端部から20~35mm内側にしたうえで、先に穴を開けてからくぎやビスを施工する必要があります。

サイディング材の左右接合部は「2面接着」で
サイディング材の左右接合部は「2面接着」で
住宅瑕疵担保責任保険法人の1つ、住宅保証機構の設計施工基準を基にしたサイディング材接合部(ジョイント部)の納まりイメージ(資料:住宅保証機構の資料を基に日経 xTECHが作成)
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 またサイディング材同士の接合部(ジョイント部)にはシーリング材で目地を設けます。目地は、部材の動きを許容する、いわゆる「ワーキングジョイント」として機能する必要があります。そのため目地に打つシーリング材は、左右のサイディング材側端部のみに接着して、目地背面の胴縁は接着しない「2面接着」で施工しなければいけません。

 目地背面の胴縁まで接着する「3面接着」の状態では、サイディング材の動きを許容しにくくなり、目地のシーリング材が切れたり、ひび割れたりしやすくなります。こうした箇所が雨水の浸入ポイントになります。実際、サイディング外壁の住宅で生じる雨漏りトラブルでは、目地部分から雨水浸入例が少なくありません。またシーリング材はそもそも、材料の性質として経年劣化が避けられません。そのため、定期的な打ち替えもメンテナンス上、欠かせません。