住宅の外壁仕上げでは、第4回講義で説明した「乾式仕上げ」に対して、「湿式仕上げ」と呼ぶ手法があります。湿式仕上げとは、モルタルやしっくいなどの塗り壁材を建築現場で水で練り込み、外壁仕上げ材として施工する手法です。伝統的な土壁なども湿式仕上げ。タイル仕上げも、タイルだけ見ると乾式のようですが、湿式仕上げの一種です。総じて「左官壁(さかんかべ、しゃかんかべ)」などと呼ぶ場合もあります。

 第4回講義で、乾式仕上げについては住宅瑕疵(かし)担保責任保険法人(以下、保険法人)の設計施工基準で、外壁通気工法の採用が必須と説明しました。湿式仕上げでは必須ではありません。まずは、現代の木造住宅で代表的なモルタル仕上げを例に、施工方法を説明します

防水層はアスファルトフェルト
住宅瑕疵担保責任保険法人の1つ、住宅保証機構の設計施工基準を基にした外壁モルタル仕上げの納まりイメージ(資料:住宅保証機構の資料を基に日経 xTECHが作成)
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 モルタル仕上げでは、まずは建物の外壁躯体外側に「アスファルトフェルト」という種類の防水紙を張ります。アスファルトフェルトとは、繊維屑を混ぜている原紙にアスファルト材を含浸させた建築用防水資材です。屋根をふく際に下地防水に用いる「ルーフィング材」も、これと同種の資材です。

 アスファルトフェルトは透湿防水シートと異なり、留め付けくぎなどで穴が開いても、含浸アスファルトがくぎなどの周囲に密着するので、一定の止水性能を期待できます(劣化するとアスファルト材が乾燥・固化して止水性能も低下します)。一方で透湿性はありません。施工時の重ね幅や窓やダクトといった開口部・貫通部周囲の納め方は、第4回講義で解説した乾式仕上げにおける透湿防水シートの場合と、基本的に同じです。

 外壁躯体にアスファルトフェルト(防水層)を施工したら、その外側にモルタル仕上げ層の下地となる「ラス網」をくぎやタッカー(建築用ステープラー)で取りつけます。ラス網(単に「ラス」と呼ばれることもあります)は、金属線を網状に仕立てた資材。モルタルなどの塗り材を壁に固着する“芯”となる役割を果たします。

 湿式仕上げは外壁だけでなく内装の仕上げでもしばしば採用され、ラス網もそれに応じてさまざまな種類があります。表面が波形やリブ付きなど凹凸があるか、フラットかといった形状的な違いのほか、網を構成する金属線の太さなどにもバリエーションがあります。仕上げ面の塗り厚(重さにも関連)や塗り材の材質などによって適切な組み合わせで用いないと、完成後に剥離・剥落などのトラブルが招くことがあります。

 モルタル仕上げでは近年、ラス網を必要としないモルタル下地専用のボードを湿式仕上げの下地に用いる「ラス省略工法」もあります。主要な保険法人の設計施工基準では、例外的に認めているものもあります。

 ここまで説明した一連の防水施工では、防水層に透湿防水シートを使ってはいけません。湿式外壁でも、経年変化や建物の揺れなどによってひび割れなどの雨水浸入ポイントが生じやすく、通気層がない納まりでは防水層に浸入した雨水が直に当たることになります。透湿防水シートはアスファルトフェルトと異なり、シートやラス網の留め付けくぎの周囲などに、水の浸入を許す穴・隙間が生じるからです。

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