ここからは、永久磁石同期モーターを高効率に制御する方法について具体的に考えていく*1。
スカラー制御から始まった
まず、古くから使われているスカラー制御について説明する。スカラー制御とは、電圧指令などスカラー値を用いてモーターを駆動する制御方式である。図1に、基本的なスカラー制御の構成図を示す。右下に示す永久磁石同期モーターには、レゾルバー*2やエンコーダーなどのローター位置センサーを取り付ける。センサー情報と電圧指令に基づいて、位相が120度異なる三相正弦波電圧を生成し、インバーターで電力増幅して、モーター駆動を行う。正しい駆動のために重要なことは、モーター内部にある永久磁石のN極とS極の位置を明確に把握することである。
図1の場合は三相なので、各相の正弦波の位相は120度、すなわち2π/3(rad)ずつずれている。具体的には、センサーからの位置信号に対して120度プラスしたW相と、120度マイナスしたV相の正弦波を発生させ、インバーターを介してVu、Vv、Vwの三相電圧をモーターに供給する。120度位相のずれた三相電流が供給されれば、モーターは回る。