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 今回は、埋め込み磁石型永久磁石同期モーター(IPMSM)*1の制御について触れておきたい。IPMSMは永久磁石によるトルクだけではなく、磁気抵抗がローター位置によって変化することで得られるリラクタンストルクを利用できる。制御の方法によって、最大トルク制御などが実現でき、効率良く、可変速範囲が広いことからコンプレッサーモーターや自動車などに、多用されるモーターである。表面磁石型永久磁石同期モーター(SPMSM)*2と比較して、磁石の割れによる飛散がない、永久磁石の端部を円弧状にする必要がないので製造コストが安いなど、さまざまなメリットがある。突極性を利用することで位置センサーレス制御システムを簡易に構築できる優位性も大きい。

 しかし、鉄心の中に磁石があるために鉄心内部で磁束が循環し、磁石の持つ磁束を100%利用できない可能性がある。また、SPMSMよりq軸インダクタンスが大きいため、q軸電機子反作用*3が大きく、端子電圧の上昇と磁気飽和の影響を受けやすいなどのデメリットもある。制御システムの構築に当たっては、これらのメリット・デメリットを十分に理解しておく必要がある。

 IPMSMの特徴は、永久磁石によるトルクTmとリラクタンストルクTrを加算して利用できる点だ。重要なのは「Trは電流Iaの2乗で効く」ことである。電流が大きくなるに従って、その影響が大きくなる。Tmは電流位相角βが0度で最大となるが、Trはβが45度または-135度で最大となる。つまり、IPMSMの最大トルクはβが0度から45度の間にあり、電流Iaの値によって変化する。最大トルクでIPMSMを駆動する場合は、βの制御が重要である。モーター発生トルクTを最大にするβは、以下の式で求められる。その後、idとiqを算出することになる。

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