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 今、日本企業の「品質」が大きな岐路に立たされている。高品質だと世界で賞賛されていた日本のものづくりの品質が大きく揺らいでいるからだ。ニュースで報道されるような品質問題の多くは、「今の技術力では、どうしても避けることができなかった」という類いのものではない。「後から考えれば、避けることができた」ものがほとんどだ。こうした事実は、日本企業の品質を造り込む力が弱くなっていることを示していると見るべきだ。

 また、日本企業で相次いだ品質不正問題の根本は組織の仕事のあり方が問われることではあるが、発端は、出荷に対応できるような品質を維持できないがために、やむなく不正な行為をしてしまったことにある。

 本講座では、日本企業のものづくりで弱くなっているところに焦点を当て、今、我々がすべきことを分かりやすく解説する。第1回目の本稿は、品質マネジメントシステムが本当に「品質を確保する」ために機能しているのかを問い直してみる。

発生した品質問題を改善する取り組みでは不十分

 品質問題が発生したとき、総力を挙げて対策に取り組むことはどの工場でも行っている。しかし、そもそも品質問題が発生しないものづくりに向けた取り組みが十分に機能していると、自信を持って言いきれる工場は少ない。

 「我が社は品質マネジメントシステムを運用している」「我が社は工程での品質問題の解決に精力的に取り組んでいる」と、活発な改善活動に満足するものの、行っていることは、発生してしまった品質問題を改善する取り組みであり、そもそも品質問題を発生させないような取り組みには至っていないのではないだろうか。

(作成:筆者)
(作成:筆者)
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