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 QC工程図は、その作成過程で洗い出された作業上の注意点やポイントを、どのような作業方法で実現するのかについて具体的に示す必要がある。そうして作業者の人たちに正しく理解してもらわなければ、十分な機能を果たすことはできない。そのためのツールが作業標準書なのだが、残念なことに、作業標準書が必ずしも実際の現場で広く活用されているとはいえない状況だ。

 第4回の事例で示した通り、「そもそも作業者が今、きちんと作業できているのに、なぜわざわざ作業標準書を作らなければならないのか」というのは、多くの企業が抱く疑問だ。作業標準書を作成しなくても、今日の生産や明日の生産が滞りなくできるのであれば、生産現場が作業標準書の必要性を全く感じないこともある。

 ある程度は必要性を認識していても、「正直なところ、手間がかかって面倒だ」とか「どんなふうに作業標準書を作成したらよいのか分からない」とかいった具合に、想定される作成労力の大きさに尻ごみする意見もよく上がる。今回は、抵抗感が大きくなかなか活用に至らない作業標準書をいかに活用していくか、そのポイントについて考えてみよう。

作業標準書の目的を理解する

 作業標準書には今の作業を紙に書く(明文化する)という目的に加えて、2つの目的がある。1つは、それぞれのベテランが持つ個人のノウハウを、会社共通のノウハウ(会社全体の技術資産)にするという目的。もう1つは、会社が生産活動を継続的に行うために、次の世代に作業上のノウハウを伝えるノウハウやツボ、コツといった技術資産を洗い出して伝承していくという目的だ。

 作業標準書は、作業の手順や順番を記すことだけではなく、品質を確保するためにどのような作業方法が望ましいのか、その理由は一体何か、そして作業は具体的にどうするのか、その際の注意点や作業上のコツやポイントは何か、を考えることに意味がある。まさに、「我が社の作業現場が持つさまざまなノウハウを洗い出すこと」が重要なのだ。紙としての作業標準書はそのアウトプットという位置づけである。