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 教育や訓練が機能するには、作業標準書(あるいはそれに相当するもの)が必要不可欠だ。作業標準書とは、良い品質の製品を、狙うべきコストで、かつ安全に生産するために、作業上のポイントや注意点などを分かりやすく記載したものである。つまり、その会社・職場の持つノウハウの塊だ。この作業標準書に書かれるべき内容がどれだけ蓄積されているか、それが強い工場のバロメーターになると言っても過言ではない。

 しかし、どれほど良い作業標準書が出来ても、その内容が確実に作業者へ展開されていなければ、その役目は果たせない。仮に作業標準書という体裁の書面がない場合でも、作業の手順だけではなく、作業する上で注意しなければいけないポイントや注意点、作業上のコツが、口述伝承ではなく、どんな形式であっても書面(すなわち形式知)として存在しており、それが教育に活用されているかどうかが重要だ。

 だが、現実の職場では作業者に対する教育・訓練が極めておろそかになっている。確かに、ISO(国際標準化機構)などのマネジメントシステムを導入している会社では、教育・訓練が必ず実施されている。その実施記録として、誰が(指導する側)、誰に(教育を受ける側)、何を教えたのかという「教育・訓練記録」も残っている。ここで問いたいのは、教育・訓練の実態だ。本当に作業のポイントや注意点、作業上のコツを、教育を受ける側の作業者が腹落ちするまで教えることができているだろうか。