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 作業者教育のポイントは2つある。1つは、作業する上で注意しなければならないポイントや注意点、作業上のコツなどを明確にした上で教育を施すこと。もう1つは、教育した結果として作業者が本当にその内容を理解したか(腹落ちしたか)どうかを確認することだ。

 では、1度、確実に作業を習得してしまえば、以降はずっとそのまま作業を続けてよいかというと、必ずしもそうではない。確かに、簡単で定まった動作をする作業であれば、1度覚えてしまえば、その作業内容や作業の質が大きく変わる可能性は低いかもしれない。

 しかし、判断を要する作業(検査工程や、作業の結果や仕上がり具合を一定の基準で見極めなければならない工程)などでは、作業に従事しているうちに、徐々に判断の基準(感覚)がずれてくることがある。作業者自身は、正しい作業をしているつもりでも、実際には判断が甘くなっていたり、逆に判断が厳しくなっていたりするのだ。

 顧客からの厳しいクレームがあると、「ギリギリ良品だけど、ここは安全を見て不良品にしておこう」というように、いつもより少し厳しめに判断するようになる。これは「工程あるある」の1つだ。逆に、納期が厳しく、何とか出荷数を確保したいと現場が大慌てしているときには「このくらいは大丈夫だろう」と、いつもよりも少し緩めに判断することがある(かもしれない)。しかし、1度このような検査の強弱が発生すると、それが常態化してしまう可能性がある。

 また、複雑な作業をしている場合でも、時間の経過とともに作業が変節することがある。それは、例えば作業者が作業に慣れて教えられた作業手順を省略したり、自分なりに手を加えることを繰り返したりすることによって、いつのまにか作業者が正しい作業を行わなくなってしまうことがあるからだ。