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クロスの貼り換えは対象外

 ところで、戸建て住宅のリフォームで建築確認は必要でしょうか。建築基準法には、リフォームや改修という用語は出てきません。そこで、建築確認が必要な「増築」や「大規模の修繕・模様替え」に該当するかどうかで判断します。

 ここで「大規模の修繕・模様替え」とは、主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)の1つ以上を家全体の半分以上新しく改変することを指します。主要構造部とは防火機能を備える部分のことです。例えば、外壁を半分以上壊すリフォームは建築確認の対象となりますが、壁クロスの貼り換えは対象外です。

 設備については、大規模な建物に設置するエスカレーターやエレベーターなどが建築確認の対象になります。そのため、小規模な既存の戸建て住宅にホームエレベーターを新たに設ける工事に建築確認は不要です。

 建築確認やその後の検査には、お金と時間がかかります。これらの負担を避けるため、かつては確認済証を取っていても検査済証をもらわずに住み始める事例は珍しくありませんでした。行政側のチェックもそこまで厳しくなかったのです。

 しかし検査済証がない住宅は、その後の増築やリフォームに制約が生じます。売却する際の価格にも影響を及ぼすでしょう。持ち家の価値を長く維持していくためには、建築基準法に基づいて適切な手続きを踏んでおくことが重要です。

守山 久子
ライター
守山 久子 建設会社から日経アーキテクチュア記者、日経デザイン副編集長などを経て、2003年に独立。長年、建築ライターとして活動し、「建築プレゼン15の流儀」(日経BP社)など著書も多数。近年は日経アーキテクチュアおよび日経ホームビルダーで、建築基準法の改正や省エネ住宅の動向をテーマにした記事、連載を数多く担当。(イラスト:宮沢 洋)