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 戸建て住宅に関する建築法規には、敷地条件をベースに定まるものがあります。ここで重要なのが「用途地域」です。用途地域は都市計画によって定められているもので、「第一種・第二種低層住居専用地域」「準工業地域」「近隣商業地域」など、全部で13種類あります。用途地域に応じて建てられる建物の種類、容積率と建蔽率、高さ制限などが決まります。

 もう少し詳しく説明しましょう。都道府県が都市計画を定めている区域を「都市計画区域」と呼んでいます。全国の都市計画区域の合計面積は国土全体の約4分の1にすぎませんが、この範囲に全人口の94%が居住しています。

 都市計画区域内は、「市街化区域」と「市街化調整区域」に分かれます。市街化区域では用途地域を定め、それぞれの地域にふさわしい市街化を進めます。市街化調整区域は、逆に田畑や森林などの田園を残すことを目的にして市街化を抑制する地域で、戸建て住宅の建設にも厳しい制限を課しています。

高さの規制は道路・北側斜線と絶対高さに注意

 他の建築物と比べると、戸建て住宅は比較的多くの地域で建設できます。市街化区域では、工業専用地域以外なら建設可能です。市街化調整区域では、都道府県知事の許可が必要になるなど、建てられる条件が限定されます。

戸建て住宅が建設可能な地域と規模の制限
容積率と建蔽率は都市計画により、地域ごとに上記の範囲内で定めている。このほか日影規制や高度地区の規制がある(資料:日経クロステック)
戸建て住宅が建設可能な地域と規模の制限
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 戸建て住宅に、趣味の店やアトリエを併設したい場合もあるでしょう。第一種・第二種低層住居専用地域と田園住居地域ではこうした兼用住宅にも制限があり、非住宅部分の面積を「50m2以下かつ延べ面積の2分の1未満」に抑える必要があります。併設してよい非住宅部分は、日常用途の物販店、飲食店や喫茶店、学習塾など一定の用途に限ります。

 容積率や建蔽率、建物の高さも、用途地域に応じて定められています。緩和の対象となる場合を除き、例えば、低層の住宅街である第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域では、容積率は最大で200%、建蔽率は最大で60%となります。商業やビジネスの機能を集約する地域ほど容積率と建蔽率は高くなり、近隣商業地域や準工業地域の容積率は最大で500%、商業地域では最大で1300%(建蔽率はいずれも最大で80%)です。容積率の大きな地域にも戸建て住宅は建てられますが、周囲を背の高い建物に囲まれた状態になる覚悟は必要でしょう。

 高さについては絶対高さ、斜線制限、日影規制の制約があります。このうち絶対高さは建物の最高部分の高さを規制するものです。斜線制限は道路や隣地境界線、真北方向の敷地境界線などからの距離に応じた高さ制限で、それぞれ「道路斜線」「隣地斜線」「北側斜線」と呼びます。日影規制は周囲に一定の日射を確保するためのもので、用途地域によって、高さや階数など規制対象の条件が決まっています。

 第一種・第二種低層住居専用地域と田園住居地域では、建物の高さを10mまたは12m以内に納めることが求められます。10mか12mかは行政が地域ごとに定めています。これらの地域では、道路斜線と北側斜線もかかります。

 その他の地域では絶対高さ制限はなく、道路斜線と隣地斜線が適用されます。ただし第一種・第二種中高層層住居専用地域に限り、日影規制が適用外の場合は北側斜線も満たす必要があります。

 以上を踏まえ、戸建て住宅の建設時に主に注意したいのは道路斜線と北側斜線です。幅が狭い道路に面した敷地の場合、建物を道路に寄せて配置すると道路斜線にかかる可能性があります。第一種・第二種低層住居専用地域と田園住居地域の北側斜線も、斜線の起点が高さ5mなので、北側に接した場所では斜線にかかる可能性があります。10mや12mの絶対高さは、2階建ての場合はほとんど気にする必要がありませんが、3階建ての場合には注意を要します。隣地斜線は斜線制限の起点となる高さが20mや31mなので、戸建て住宅は実質的に関係ありません。