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 第1回で起こった、高森と今泉の対立。問題はどこにあったのでしょうか。対立を解消するには、誰が何をすべきなのでしょう。今回は、それを見ていきましょう。

 まず、高森に着目します。高森は、リーダーとして初のプロジェクトを成功させようと張り切っています。計画通りに進めるには、機能要件の確認を早く始める必要があります。

 機能要件の確認とは、As-Is(現状)を確認した上で、To-Be(あるべき姿)を検討する作業です。今回は業務のドキュメントがない状況ですから、手間がかかります。高森は、とにかく早く作業を始めなければと焦っていたのです。

 問題は、すぐにソースコードの解析を求めたことです。高森に限らず、業務ドキュメントがないときに同じ行動を取る人は少なくありません。しかし、この方法は最後の最後にするべきでしょう。

 この段階で最も重要なのは、その機能が今後の新業務やシステムで必要かどうかを見極めること。機能はできる限り絞り込むのが鉄則です。そのための近道は、業務の担当者に作業の流れを再確認し、必要に応じて再設計することです。無駄な業務を洗い出し、それを排除して業務を組み立て直します。

 カミヤシステムズの今泉は過去の経験から、やみくもにソースコードを読んでドキュメント化するよりも、まずその業務自体を見直し、今の社会環境や企業環境に合っているかを検討する方が効率的だと知っていました。特に今回はDXの一環として基幹システム刷新をするプロジェクトで、業務改革は重要なキーワードになっています。ですから今泉は、先に業務確認をすべきだと主張しました。

 またプロジェクトのリーダーは、「プロジェクトは生き物であり、常に形を変えていくもの」であることも意識すべきです。必要があれば、適切な手順の下で計画自体を変更します。今泉の提案のように計画を変えた方が効率的に進む可能性があるなら、リーダーとしては柔軟に検討する姿勢が求められます。

 ここまでのポイントをまとめると、以下の通りになります。

ポイント①
  • 「DXによる業務改革」というプロジェクトの大きな目的を常に意識する
  • プロジェクト計画は変更できる