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 グローバルに拠点を持つ企業では、システム導入に当たって各国拠点との調整が発生します。文化もビジネス習慣も異なる相手との合意を形成し、円滑にプロジェクトを進めるのは容易ではありません。

 本講座のストーリーの舞台となっている志野物流では、比較的スムーズに進みそうです。それはなぜなのか、見ていきましょう。


 グローバルパッケージの導入が決まり、志野物流の会計システム開発プロジェクトはさらに加速していた。今日はパッケージ導入方針の説明やスケジュールのすりあわせのため、海外法人を集めた全体会議を開催する日だ。

 野島はいつになく緊張していた。海外拠点へのパッケージ導入で、苦い経験を持っていたからだ。

 15年前、野島は志野物流の米国現地法人、SHINO-Logistics USAに出向していた。当時は、海外にある日本企業の生産拠点から、巨大消費地である米国に向けた製品の輸送ニーズが高かった。世界的な物流企業は、それをサポートするグローバルな物流システムの構築に力を入れていた。志野物流でも、それまで日本で5年間稼働していたスクラッチ開発のシステムを海外拠点に展開しようとしていた。

 最初の展開場所として選ばれたのが、野島が所属していたSHINO-Logistics USAである。第1段ということもあり、日本にある本社のプロジェクトチームが主導して作業を進めた。日本で米国と同じシステム環境を作り、米国で勤務経験のある日本人従業員が中心となってフィット・アンド・ギャップの検討を重ねた。

 いざ運用を開始しようとしたとき、修羅場ともいえる過酷な状況に陥った。日本で開発したシステムの仕様があまりにも細かすぎて、米国の業務の流れにそぐわず、貨物が滞るというトラブルを引き起こしたのである。