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 志野物流のシステム刷新プロジェクトでは、「グローバル」が重要なキーワードになっているようです。しかし、グローバルを意識しているのは実は日本だけだといわれることが少なくありません。他の多くの国では、システムが世界で動くことを前提にしています。つまり、グローバルシステムやグローバルスタンダードといったことは特段意識していません。今後は、日本で企画・開発したシステムでも、グローバルで動かすことを前提にすべきです。

 日本企業のIT部門では、グローバルでのシステム導入の際はまず国内で試験稼働をする場合が少なくありませんでした。国内で問題点や不具合を洗い出して解消してから、海外に展開するためです。しかしこの方法は、できるだけ避けた方がよいと筆者は考えています。

 志野物流の事例にもありましたが、日本と海外では求められるシステムが異なります。日本では業務の100%をシステム化することを目指すが海外では70%程度でよい、といったケースも少なくありません。システム開発の思想が異なるため、最適な画面やデータの設計も変わってきます。

 筆者の経験上、海外では「いかに簡単にシステムを使えるか」「いかにデファクトスタンダードな仕組みにするか」を重視する傾向があります。米国のように人材流動が激しい国では、従業員の入社や退社が頻繁に起こります。入社したばかりの人も特別な訓練なしに使える、シンプルなシステムを構築することが重要なテーマなのです。

 第5回で野島が提示したシステム開発方針は、こうした状況を踏まえたものでした。カスタマイズは可能な限りせず、日本ではなくあえて米国から稼働させることでシンプルなシステムにすることを狙いました。

ポイント①
  • 海外ではシステムを簡単に使えることが重視される。操作教育やマニュアルが必須な日本型システムは導入に苦労することが多い
  • パッケージの基本部分はカスタマイズをしない。カスタマイズをすると操作が複雑になり、保守も大変になりがちである
  • システムを業務に合わせるのでなく、「業務をシステムに合わせる」ことも重要である