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 また今回、野島はプロジェクトの初期から海外拠点の担当者と綿密に連絡を取っていました。プロジェクト運営でトラブルを避けるには、最初が肝心です。最初にさまざまなリスクを想定しておけば、トラブルの予兆を感じたときに柔軟に対処できます。

 システム開発方針の策定を主導するなど、プロジェクトマネジャーを務める野島が強い権限を与えられていることも重要なポイントです。気合と根性で開発を進め、修羅場を迎えても現場の努力で乗り切るというシステム開発プロジェクトは、今後は成り立ちません。

ポイント②
  • プロジェクト運営は立ち上がりが肝要である
  • プロジェクトマネジャーは必ず専任にし、ヒト・モノ・カネの権限を持たせる。それができなければ、プロジェクトオーナーなどの上司と二人三脚の体制を作る

 さらに、プロジェクトマネジャーは権限だけでは務まりません。人間関係や信頼関係は、プロジェクトの立ち上げ段階からとても大きな意味を持ちます。

 今後のプロジェクトでは、国籍や性別、経験、年齢などさまざまなバックグラウンドを持つメンバーが集まるケースが増えるでしょう。こうした違いを超えて信頼されるプロジェクトマネジャーにならなくてはなりません。

 プロジェクトマネジャーの日々の行動や発言、1つ1つの判断などが、信頼につながります。いきなり完璧を目指すのでなく、自分ができることを誠実にやっていきましょう。プロジェクトマネジャーがこうした姿勢でメンバーに向かっていれば、メンバーも心理的安全性を感じることができ、自由な発言や発想が生まれやすくなります。

 野島の場合は、若い頃に米国で働いたことも良い経験になっていると考えられます。現地で働く人たちとの付き合いを通じて、多様な価値観を持つメンバーをまとめていく基礎が身に付いたのです。

ポイント③
  • プロジェクトの立ち上げ段階から、チームの人間関係や信頼関係を構築することが重要
  • 心理的安全性を確保することで、自由な発言や発想が生まれる。これがワクワクするプロジェクトを生み、良い結果につながる