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 続いて、ハイブリッド車(HEV)向けシステムを構成する主要部品のうち、高電圧補機システムについて解説する。

 エンジン自動車ではエアコン用コンプレッサーやウオーターポンプなどの補機類をエンジンで駆動する。ところが、HEVは電気自動車(EV)走行時や停止時にエンジンが止まるため、駆動力を維持することができない。

 そこで、エンジン停止時にも補機類を動かすために電動化する必要がある。また、HEVは高電圧電池を搭載するため、負荷の大きいシステムは高電圧仕様にすることで小型化が可能となる。市販されているHEVにそれらを採用しているものがあるので、紹介する。

コンプレッサーとウオーターポンプ

 HEVに採用されている電動コンプレッサーは、エンジンの駆動力とモーターによる駆動力の両方を利用するハイブリッド型と、モーターによる駆動力のみを利用するタイプがある。モーターのみで駆動するものには、高電圧仕様として小型化しているタイプもある。

 は、モーターのみで駆動する電動コンプレッサーの例である。コンプレッサーやモーター、インバーター、電子制御ユニット(ECU)を一体化して小型化を図り、エンジン自動車のコンプレッサーと同じ場所に搭載している。エンジンで駆動するコンプレッサーでは、低回転時の容量を確保するためにコンプレッサーが大型になる。

図 スクロール式電動コンプレッサーの構造
図 スクロール式電動コンプレッサーの構造
モーターのみで駆動する例を示した。(作成:筆者)
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 一方、HEV用はモーター駆動のために高回転化すればコンプレッサーを小型にでき、余ったスペースを有効に活用できる。永久磁石式モーターは内部磁石型(IPM)タイプを採用し、モーター巻き線とインバーターの冷却にはコンプレッサーの冷媒を活用する。振動や温度、耐水性といった環境条件をクリアするため、特に部品の固定方法や放熱性、防水構造に配慮している。

 電動ウオーターポンプについては、トヨタ自動車が2009年に発売したHEV「プリウス」で採用された。エンジン補機の駆動損失を低減し、燃費向上を実現している。同ポンプは負荷が小さいため低電圧仕様だが、今後、モーターやインバーター、主電池などの主要部品の小型化を考えると、冷却能力の向上は不可欠である。近い将来、電動ウオーターポンプは高電圧仕様になることが予想される。