デジタル化の波が金融の世界を覆いつくそうとしている。社会活動において最も身近な金融サービスであるお金が象徴的だ。遠い将来のことと見なされてきた「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」は急速に現実味を帯び、世界中で検討が進む。

 もはや聖域は存在しない。決済分野では、キャッシュレスブームによって消費者の行動は一変。長らく不動の地位を築いてきた「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」や「CAFIS」にまで、改革の手が及ぶ。デジタルデータを活用した融資サービスも続々と誕生し、銀行が十分にカバーしてこなかった中小零細企業への貸し付けにビジネスチャンスを見いだしている。

 金融の担い手は金融機関、という常識は過去のものだ。「Embedded Finance(組み込み金融)」の潮流は金融機能を1つのパーツとして、さまざまなサービスに埋め込むことを可能にした。あらゆる事業者が金融を手掛けられる時代は既に到来している。

 日々、形を変えていくデジタル金融。その最前線を追う。