全2472文字
日経FinTech2020年6月号の転載記事となります。

「価値交換プラットフォーム」の提供を掲げるディーカレットが、デジタル通貨の実現に向けて存在感を発揮している。2020年6月には、3メガバンクやJR東日本が参加する勉強会を発足。標準モデルの確立に向け、議論を開始した。様々なデジタル資産の「仲介役」を担おうとするディーカレットにとって、大きな試金石になる。

 「デジタル通貨を実現するには、1社だけでは難しい。多くのプレーヤーが共通した考え方を持つ必要がある」。ディーカレット代表取締役社長の時田一広氏は、こう語る。三菱UFJ銀行や三井住友銀行、JR東日本、インターネットイニシアティブ(IIJ)といった企業が出資するディーカレットが2020年6月、「デジタル通貨勉強会」を発足した。主な目的は、デジタル通貨の標準モデルを日本で確立すること。各プレーヤーがどんな役割を担うべきか、どのような情報システムが必要かといった論点について6~9月に議論を重ね、報告書をまとめる方針だ。「実現への道筋をつけた内容にしたい」と、時田氏は力を込める。

ディーカレットが事務局を務める勉強会の概要
ディーカレットが事務局を務める勉強会の概要
[画像のクリックで拡大表示]

デジタル通貨の発行基盤に注力

 ディーカレットが目指すのは、暗号資産(仮想通貨)やセキュリティートークンなど多岐にわたる金融資産の「価値交換プラットフォーム」を運営すること。

 その第1歩として、2019年3月には仮想通貨交換業の登録を完了。翌4月に暗号資産の取引サービスを開始している。8月には、「au WALLET(現au PAY)」、「楽天Edy」、「nanaco」といった電子マネーに暗号資産でチャージできる機能も追加した。

 2020年以降は、デジタル通貨への取り組みを加速させている。ブロックチェーンベースのデジタル通貨発行・管理プラットフォームを構築し、年内の事業開始に向けて実証を重ねているところだ。資金移動業の登録も見据えているという。

 2020年2月、KDDIなどと共同検証に乗り出した。資金移動業者であるウェブマネー(現auペイメント)がデジタル通貨を発行し、KDDIが検証の参加者に配布。参加者は店頭決済などで利用し、店舗はKDDIにデジタル通貨を送ることで精算する。その後、ウェブマネーがデジタル通貨を償却するという流れである。

 2020年3月には、東京海上日動火災保険とも実証実験に取り組んだ。保険料の徴収や保険金の支払いにデジタル通貨を利用する。スマートコントラクトによって保険契約の条件に合致するかを自動で判定し、保険金を支払う仕組みを検証した。

 一連の検証は、独自のデジタル通貨を発行できる機能を持つディーカレットのプラットフォームを活用している。

ディーカレットの取り組み
ディーカレットの取り組み
[画像のクリックで拡大表示]