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ウクライナはロシアによる侵攻を受ける以前から、FinTechに意欲的に取り組んでいた。2020年12月時点で約150社のFinTech企業が存在し、政府は2025年に向けてさらなる成長のロードマップを描いていた。この成長に一役買おうとしていたのが日本のFintech協会だ。2019年に、ウクライナのFinTech関連団体「Ukrainian Association of FinTech and Innovation Companies(UAFIC)」と相互支援に関する覚書を締結した。同年にキエフを訪れたFintech協会 代表理事副会長の鬼頭武嗣氏(クラウドリアルティ ファウンダー・取締役)に、ウクライナにおけるFinTechの状況や日本のFinTech企業への影響について聞いた。

Fintech協会 代表理事副会長 鬼頭 武嗣氏
Fintech協会 代表理事副会長 鬼頭 武嗣氏
(写真提供:Fintech協会)
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Fintech協会とUAFICが覚書を締結したきっかけは。

 2019年12月に、キエフでFinTechの国際カンファレンスが開催された。それを機に2国間でパートナーシップを組もうという話になり、私がキエフを訪れてUAFICと覚書を交わした。

ウクライナは人材に強み

ウクライナにおけるFinTechの状況について、どんな印象を受けたか。

 ウクライナの1人当たりGDP(国内総生産)は日本の10分の1程度で、欧州の中でも経済規模は大きくない。FinTechに関しても、まだこれからという感じだった。

 FinTech企業としては、インフラ系や汎用的なソフトウエアに焦点を当てているところが多いようだ。金融機関向けにSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を提供していたりする。決済・送金を手掛ける企業も多い。

 一方で、今後の可能性を感じた。強みは人材だ。旧ソ連時代から、コミュニティーの中でITエンジニアが育っている。シリコンバレーで、ウクライナ出身の起業家が活躍しているという話も聞く(本誌注:例えば米PayPalの共同創業者で、現在はBNPL[後払い]サービスの米Affirmで創業者兼CEO[最高経営責任者]を務めるMax Levchin氏はウクライナ出身)。

覚書を締結した後、どのような活動をしてきたか。

 直後にコロナ禍となり、メンバー同士のコミュニケーションはあまりできていない。ただ、Fintech協会とUAFICがコラボレーションした例もある。

 世界銀行グループの傘下にある国際開発機関のIFC(国際金融公社)は、日本や英国、米国などの基金を基に欧州や東欧、中央アジアの金融機関におけるDX(デジタル変革)を支援する「DigiLab Finance」と呼ぶ取り組みを進めている。その一環として、ロシア語圏の金融機関向けオンラインセミナーをUAFICとともに実施した。