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 産業技術総合研究所発のベンチャー企業のステラビジョン(SteraVision)は、光線(ビーム)を離散的に任意の方向へ向けられるビームステアリング技術を開発した。発した光線の反射時間で測距する距離画像センサーのLiDAR(Light Detection and Ranging)などに応用する(関連記事1:車載センサー三国志関連記事2:LiDARでレーダー超え、ロボット・車に“人の眼”の力)。

 一般にLiDARは、ビームを照射する方向を変えて周囲を走査することで距離画像を取得する。方向を変えるためにモーターやMEMS(微小電子機械システム)を使う場合、ビームの方向を既定の軌道で周期的に変化させる。計測方向は、既定の軌道上、既定の順となる(図1の左)。

 開発したビームステアリング技術を利用すれば、任意の方向に任意の順でビームを向けられる。これによって、取得する距離画像内で測距点の密度を柔軟に変えることができる。最初は全体を粗く測定して、次の測定では細かく撮像したいエリアのみ高密度に測距することが可能となる(図1の右)

図1 測距点を離散的に選択
図1 測距点を離散的に選択
開発したビームステアリング技術と、従来のLiDARで使われていたビームステアリング技術の比較。開発した技術は、離散的に任意の点から計測できる。状況に応じて、測距する点の密度を変えることも可能だ。(図:SteraVision)
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 今回のビームステアリング技術は、光線を2方向に切り替えられる光学素子を利用する。この素子を複数枚重ね合わせて、2枚で4方向、3枚で8方向などと、多数の方向にビームを向けられる(図2)。光学素子は2つの屈折率を持つフィルムと、光の偏光状態を変える液晶からなる。フィルムの2つの屈折率は、入射光の偏光状態によっていずれかに決まる。液晶で偏光状態を切り替えることで光線の向きを切り替えられる。切り替えに必要な時間は、液晶の応答時間の約14μ~20μsである。切り替え時間20μsで500点を計測するのに要する時間は0.01秒となる。

図2 複数の素子を重ねて測距点を増やす
図2 複数の素子を重ねて測距点を増やす
光線を2方向に切り替える素子を重ねることで多点を選択できる。(図:SteraVision)
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