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 自動車部品最大手の独ボッシュ(Bosch)は2018年2月28日、リチウムイオン電池セルと全固体電池セルを他社から調達する方針に決めたと発表した。かねて内製化の検討を続けていたが、断念した。リスクが大きすぎると判断した。「多額の資金を投下して、いつ回収できるのか確信を得られない」(Bosch)。

 車載電池セル市場で首位に立つ20%のシェアを握るには、「初期投資だけで約200億ユーロ(約2.6兆円)が必要になる」(Bosch)と試算する。加えて、数十億ユーロ(数千億円)の維持費がかかる。さらに電池セルの製造原価のうち、75%を原料費が占めることが分かったという。電池セル事業で収益を高めることは難しいと判断した。

 Boschは長年、電池セルを自社生産するか迷ってきた。2012年に、韓国サムスンSDI(Samsung SDI)と設立したリチウムイオン電池セルの合弁会社を解消。2014年に、GSユアサと三菱商事との同電池セルの合弁会社リチウムエナジー・アンド・パワー(Lithium Energy and Power:LEAP)を新しく設立した。

 2017年9月に日経Automotiveに対して、「2018年1月に量産するか否かを判断する」と明かしていた。内製化断念の決定に伴い、GSユアサなどとの合弁会社を解消する。併せて、全固体電池セルを研究していたBosch子会社のSEEOを売却する。

 今後は電池セルを他社から調達する。自動車メーカーに直接部品を納入する1次部品メーカーのBoschにとって、電動車事業で重要なのは「電池セルの技術を理解することで、セルを内製することでない」(Bosch)との考えに至った。

 車載電池セル市場は、パナソニックとSamsung SDI、韓国LG化学(LG Chem)が強い。最近では中国政府が電気自動車(EV)の導入を自動車メーカーに義務付けるのに合わせて、自国の電池メーカーの振興策を推進。中国電池メーカーが台頭していた。既に価格競争は激しいが、Boschの参入でさらに激しくなると見る向きがいた。内製断念により競争の構図は変わらず、「日韓3強プラス中国」の競争が続くだろう。