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設計厚さ7mm以上なのに4.7mmまで削った部分も

 板厚8mmの鋼材をコの字形に成形して組み合わせて溶接するため、側バリの一部で下部の平面度が低くなっていた。そのため側バリ下部に軸バネ座(*2)を溶接して固定する作業で、両部材の間に隙間ができてしまうことがあった。すき間を無くすために底面を削って対処したがその結果、設計上求められていた厚さ「加工後7mm以上」を下回り、最も薄い部分は4.7mmまで研削していたという(図4)。さらに、側バリの底面が薄くなった分を補うため軸バネ座の全面に肉盛り溶接をしていた。

*2 軸バネ座は軸バネを台車枠に固定するための部品。軸バネは、軸箱と台車枠との間に緩衝のために取り付ける。
図4 側バリ底面と軸バネ座の溶接部の断面イメージ。溶接時に側バリ底面に2カ所の割れが生じた可能性が高いとする。側バリを削り込んだ分を補うために、側バリと逆側にある軸バネ座の全面に肉盛り溶接した。(出所:西日本旅客鉄道)
図4 側バリ底面と軸バネ座の溶接部の断面イメージ。溶接時に側バリ底面に2カ所の割れが生じた可能性が高いとする。側バリを削り込んだ分を補うために、側バリと逆側にある軸バネ座の全面に肉盛り溶接した。(出所:西日本旅客鉄道)
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 このように分析した上でJR西日本と川崎重工業は、側バリに亀裂が発生したメカニズムを次のように推定している(図5)

  1. 側バリ底面と軸バネ座を溶接する際、溶接を含めた何らかの原因によって側バリ底面に2カ所の割れが生じた。
  2. 側バリ底面の割れを起点にして疲労破壊が生じ、亀裂が発生。
  3. 側バリの底面の板厚の不足のために応力が増加。割れを起点とする亀裂を進展させた。
  4. 軸バネ座の肉盛り溶接は本来、加工後にハンマーでたたくなどして内部の応力を除去する必要があるが、これを実施した記録が残っていない。これが亀裂の進展に影響を与えた可能性も考えられる。
側バリの断面。軸バネ座との溶接部に生じた割れを起点に亀裂が広がったと考えられている。(出所:西日本旅客鉄道)
側バリの断面。軸バネ座との溶接部に生じた割れを起点に亀裂が広がったと考えられている。(出所:西日本旅客鉄道)
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