全2606文字
PR

例外規定を拡大解釈して実施

 亀裂の起点と考えられる割れの発生について、川崎重工業は「溶接を含めた何らかの原因により生じた」と推定している。

 では、側バリの底面をなぜ削ってしまったのか。

 川崎重工業によると、原則として側バリの鋼材は削ってはいけないという社内規定がある一方で、側バリと軸バネ座との隙間を目標0.5mm以下(許容範囲1mm以内)に調整してから溶接して取り付けるという規定もあった。

 先述した通り、外注品であるコの字形に成形された鋼材の曲げ加工精度にばらつきがあり、軸バネ座を取り付ける側バリ底面には、平面になっていない部分があった。このため側バリと軸バネ座を溶接して取り付ける際に、隙間を目標0.5mm以下に抑えるための調整が必要だった。

 そこで台車枠の製造作業を進めていたグループの班長が、コの字形の鋼材同士を溶接した溶接部に当たる「溶接ビード」の近接部では0.5mmまで研削してもよいという例外規定を拡大解釈。本来削ってはならない範囲まで削ることにした(図6)

図6 側バリの断面イメージ。コの字形鋼材の溶接部に当たる溶接ビードとその近接部は0.5mmまで削ってもいいという社内規定があった。側バリを製造していたグループの班長は、この規定を拡大解釈して、それ以外の範囲まで削った。(出所:川崎重工業)
図6 側バリの断面イメージ。コの字形鋼材の溶接部に当たる溶接ビードとその近接部は0.5mmまで削ってもいいという社内規定があった。側バリを製造していたグループの班長は、この規定を拡大解釈して、それ以外の範囲まで削った。(出所:川崎重工業)
[画像のクリックで拡大表示]

 班長はその際、約40人の作業者に指示を出す際、「軸バネ座と側バリ底面との隙間を0.5mm以下に抑えるように削ること」は伝えたが、「側バリ底面を0.5mmを超えて削ってはいけない」点を伝えなかった。そのため作業者は、側バリの底面の状態に合わせて、0.5mmを超え、最大3.3mmまで削ってしまった——。

 川崎重工業はこのように説明している。