PR

 いすゞ自動車は、小型トラックの国内シェアで約4割を握る「エルフ」を近く改良する。車両の生産に先駆けて、同社栃木工場の敷地内にエンジン工場を新設し、最新の排出ガス規制に対応した新型ディーゼルエンジンの生産を始めた(図1)。2018年末には電気自動車(EV)仕様の発売も計画する。パワートレーンの選択肢を増やすことで購入者である物流事業者の要望に応える。

図1 いすゞ自動車が栃木工場敷地内に新設したエンジン工場
図1 いすゞ自動車が栃木工場敷地内に新設したエンジン工場
[画像のクリックで拡大表示]

 新しいエンジン工場は、先端技術を集めた「スマート工場」という位置付けだ。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の技術を活用して生産効率を高める。例えば、生産設備の稼働情報を集めて管理したり、「QRコード」で部品情報を読み込んで品質管理に役立てたりする。一部の工程では1人の作業員が多工程を担当するセル生産方式を採用。エンジン部品をモジュール単位で作り込めば、ライン生産に比べて生産効率を高められるとみる。

 部品の加工ラインには「飛散物回収システム」を導入する。部品の切削や研磨に使う油が飛び散るのを防ぎ、工場内を清潔な状態に保つ。従来は油の飛散によって悪臭や汚れが発生し、作業員に負荷をかけていたという。加えて、作業場の床の段差を無くし、快適かつ安全に作業しやすくした。

 従来、栃木工場では大型や中型トラック用のエンジンを生産していた。小型トラック用エンジンは神奈川県の藤沢工場で生産していたが、「藤沢工場の旧式の設備は新型エンジンの生産には向かない。栃木工場内のまとまった土地に目を付け、新工場の建設を決めた」(いすゞ自動車)とする。今回のエンジン生産移管によって、栃木工場は小型から大型まで幅広いエンジンを生産可能な旗艦工場となった。最新の排出ガス規制は日本独自の取り決めのため、海外市場向けのエルフには、引き続き藤沢工場で生産したエンジンを搭載する見通しだ。

 栃木工場で生産を始めた新型エンジンの詳細は、現段階で非公開としている。藤沢工場で生産中の現行モデルは、排気量3.0Lで直列4気筒ディーゼルエンジン「4JJ1-TCS」である(図2)。最高出力は110kWで最大トルクは375N・m。高圧と低圧の2種類のターボを制御する「2ステージターボ」で、あらゆるエンジン回転域での性能を向上しやすくした。EGR(排ガス再循環)によって排気ガスの一部を冷却して吸入空気と混合しながら再燃焼。燃費を向上させつつNOx(窒素酸化物)の排出を減らす。新型エンジンでも同様の装備を搭載するとみられる。

図2 小型トラック「エルフ」と搭載するディーゼルエンジン
図2 小型トラック「エルフ」と搭載するディーゼルエンジン
[画像のクリックで拡大表示]