伊仏合弁の大手半導体メーカーSTMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)の社長兼CEOであるCarlo Bozotti氏は、2018年3月6日、次期社長兼CEOのJean-Marc Chery氏とともに、東京都内で記者会見した。自動運転車向け半導体を手掛けるイスラエルMobileye(モービルアイ)との共同開発が今後も継続することを強調した。


STの強みは伝統的に、顧客との“Win-Win”の関係を通して、ともに成長していくスタイルにある。半導体の安定成長が見込まれる自動車分野では、ADAS(先進運転支援システム)と自動運転向けの信号処理ICで存在感を増しているMobileyeとの関係が代表例だ。同社は、単眼カメラからの情報を基に車両周囲を認識する技術に強みがある。同社の創業から6年後の2005年以降STは開発や製造で協力してきた。Mobileyeの現行品「EyeQ4」では、STが持つ高速かつ低消費電力の「FD-SOIプロセス」(28nm)で量産している。
ただし、2017年に米Intel(インテル)によるMobileyeの買収が完了したことで、STとの協力関係が変わる可能性を指摘する業界関係者がいた。Mobileyeは次世代品「EyeQ5」を2016年までに10nm以降のFinFETプロセスで製造することを明らかにしており、これをSTとの共同開発で実現することをIntelによる買収発表前に明らかにしていたものの、FinFETプロセスについてはSTは自社ラインを持たず、Intelが自社ラインを持ち得意とする。Intelは車載分野で大きな実績がないとはいえ、ゆくゆく量産などを受け持つようになってもおかしくはない。