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 東京工業大学 大学院理工学研究科 教授の松澤昭氏が、2018年3月末、定年により退官する。1978年に入社した松下電器産業(現・パナソニック)時代からA-D変換器分野で多数の業績を上げ、2003年4月に同大学の教授に就任した。量子ナノエレクトロニクスセンター長と教育革新センター長も兼任している(関連記事「学生を「最強の技術者」に、東工大が挑む教育改革」)。退官後もアナログ回路分野に関わる意向で、センサー関連ICの開発販売会社の設立を検討中だ。

最終講義とお祝いの会の様子。400名ほどが詰めかけ、笑いが絶えない和やかな雰囲気だった。松澤氏は、映画「男はつらいよ」の「寅さん」の語り口で「わたくし生まれも育ちも…」と切り出して会を始め、要所要所で山口百恵やドリームズ・カム・トゥルーなどの好みの曲を来場者に聴かせた。
最終講義とお祝いの会の様子。400名ほどが詰めかけ、笑いが絶えない和やかな雰囲気だった。松澤氏は、映画「男はつらいよ」の「寅さん」の語り口で「わたくし生まれも育ちも…」と切り出して会を始め、要所要所で山口百恵やドリームズ・カム・トゥルーなどの好みの曲を来場者に聴かせた。
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 2018年3月10日、「最終講義とお祝いの会」が東京・大岡山で開催された。最終講義の演題は「Summing Up:私の複素人生」。「複素人生」は、電気回路で実部と虚部の2軸によって電圧・電流を表す複素関数になぞらえたものである。実部に対して、「実在するがイメージしないと見えない」(同氏)虚部のように、研究に対して別の多様な経験が、人生に作用したという意味だ。

 同氏は、研究開発以外に豊富な経験を重ねたことをユーモアを交えて紹介した。会社在籍時代に1500人規模の労働組合のNo.2を4年間務めたことがあり、大学に移ってからは教育改革に取り組んだ。研究開発では、日経エレクトロニクスの表紙を飾ったビデオ用A-D変換器ICの開発(1982年)、2500億円を売り上げたDVD用ワンチップSoCの開発(2003年)など目立った成果を上げた。

 東工大では30名の博士と88名の修士修了者を輩出した。半導体学会のオリンピックと呼ばれ、毎年開催の「ISSCC」では継続して数件の論文が採択される常連でもある。

 最終講義とお祝いの会では、松澤氏が100%出資している東工大発のベンチャー企業「テックイデア」とは別に、新会社の設立を検討していることを明らかにした。4月から「松澤・岡田研究室」は、最終講義とお祝いの会の司会を務め、ISSCCの採択論文を増産している准教授の岡田健一氏が引き継ぐ。