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 建設機械設計・製造の技研製作所は、ベテラン設計者のスキルに依存している体制を改めて新製品開発のスピードを上げる目的で、3D-CADを利用した設計改革の取り組みを開始した。2017年秋からベテランを中心に多くの設計者が参加する研修活動を数日にわたって実施。成果が出るかはこれからの取り組みにもよるが、既に設計者の意識が変わり始めたという。「設計がまん然と属人的に進み、製品開発にも若手設計者の育成にも時間がかかる」(常務取締役の前田みか氏)状態の解消を狙っている。

1人前になるのに10年かかる

 技研製作所の主力製品「サイレントパイラー」は、土木工事において土留めや止水のための鋼矢板(杭)を地中に打ち込む機械(図1)。ハンマーでガンガンと叩くのではなく、油圧で圧入するため騒音が少ないのが特徴であり、同社代表取締役社長の北村精男氏のアイデアで開発した。従って、同社はこれまで「一言でいえば、社長の発明をみんなできちんと形にして、みんなで売る、というスタイルの会社」(前田氏)だった。

図1 技研製作所の主力製品「サイレントパイラー」
図1 技研製作所の主力製品「サイレントパイラー」
土木工事で鋼矢板を土中に圧入する。ハンマーで叩くのではないため、騒音が少ない。
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 そのため、設計にも時間がかかることは否めなかった。「1つひとつきちんとしたものを造って出したいという意識が強い半面、設計作業は手戻りによる設計変更も多く、漫然と進んでいる印象」(同氏)があった。新製品の開発にも、機能の多い複雑なものでは1年半かかる。「50年間ずっと同種の機械を手掛け続けているのに、時間がかかりすぎている」(同氏)。

 さらに、設計をどう進めるかはベテランの頭の中にしかなく、若手は指導役のベテランのやり方をそのまま踏襲するしかないため「一人前になるのに10年かかってしまう」(前田氏)。加えて、ベテランによってやり方はまちまちであり「機種によって担当できるベテランが決まってしまっている」(同氏)状況だという。「これでは、ベテランが1人突然いなくなったら、それだけで倒産の危機に直面しかねない。これまでは良かったかもしれないが、次の50年100年会社を続けて製品を世の中に供給し続けるなら、属人的な設計のやり方を変えないと通用しない」(同氏)との考えで、3D-CAD導入を伴う設計改革に取り組むことにした。