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 トランプ米大統領は、2018年3月12日(米国時間)、通信用半導体大手のシンガポールBroadcom(ブロードコム)による同業の米Qualcomm(クアルコム)の買収を永久に禁じる命令を出した。

大統領令のリリース
大統領令のリリース
米ホワイトハウスのWebページ(https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/presidential-order-regarding-proposed-takeover-qualcomm-incorporated-broadcom-limited/)より。

 命令の主な内容は、(1)買収の禁止以外に、(2)2018年3月6日に予定されていたQualcommの定期株主総会に向けてBroadcomが提起していた同社取締役の入れ替え提案をQualcommが今後受け入れることの禁止、(3)Qualcommが定期株主総会の開催を株主への通知から10日以内に開催することである。

 米国は、外国企業による米国企業への投資を審査する対米外国投資委員会(CFIUS)を通じて、Qualcommの定期株主総会を1カ月以上延期することを要請、同社は4月5日に予定していた。今回の大統領令を受けて同社は定期株主総会の開催可能な最短日を3月23日と発表した。ここでは、Broadcomの主要な提案である買収と買収に賛成する取締役への入れ替えは、認められないことになる。

 今回の大統領令は、CFIUSが示していた米国にとっての安全保障上の懸念を踏まえたもの。米国では、米国外の企業による米国企業の支配を買収などで実施することを中止する権限をFINSA(Foreign Investment and National Security Act of 2007)によって大統領に付与している。

 Broadcomは米国企業を起源に持ち、本社をシンガポールに置くものの、中国企業あるいは中国政府と近い企業との関係から安全保障上の懸念が指摘されていた(日経新聞の関連記事)。買収が成立すれば、5Gを含む多様な通信インフラのプラットフォームをBroadcomが保有することになる。今回の大統領令に対し、Broadcomは、3月12日、安全保障の懸念をもたらすとの見方に強く反対する旨の声明を発表した。

Qualcomm CEOのSteve Mollenkopf氏
Qualcomm CEOのSteve Mollenkopf氏。