人口1375万人――。世界を代表とする“大混雑都市”である東京都。都心部に向かう通勤電車は、今日も疲弊したビジネスパーソンで溢れている。人々の願いは一つ、「もう少しゆったりと電車に乗りたい」ということだ。2020年に開催予定の東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京五輪)をきっかけに、さらなる混雑も予測される。交通機関に溢れる人をどうさばくのか。解決に向けて取り組むのは経路検索サービス大手のナビタイム。事業の最前線を同社交通コンサルティング事業部事業責任者で開発部部長の萩野良尚氏に聞いた。
都心部を中心とした交通網の混雑は深刻である。
交通網の脆弱性として二つの例がある。まずは2018年1月22日のような積雪による交通網のマヒだ。その他、大雨や台風などの突発的な天気の変動にも弱く、電車やバスの遅延や運休など、深刻な交通障害を引き起こす。もう一つは大規模イベントの開催だ。日本武道館などを使うコンサートでは、周辺の駅や電車の混雑が特に激しくなる。このとき、経路検索サービスの弱点が露呈する。競技場の最寄り駅を検索結果として表示してしまうため、特定の駅や路線に人が集中しやすいことだ。
2020年には東京五輪という大イベントがある。
これまで蓄積してきた情報を基に傾向を分析すると、2020年の東京五輪でもおそらく同じような状況に陥るだろう。競技場の周辺(臨海部や国立競技場の周り)は特に混雑し、競技の開始時間や終了時間に合わせて人が溢れる。