スウェーデン・ボルボ(Volvo)の日本法人は2018年3月28日、新型の小型SUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)「XC40」を発売した(図1)。Volvoが小型車向けに開発した新プラットフォーム「CMA(Compact Modular Architecture)」を使うのが特徴。価格は389万円からで、Volvo車の最量販モデルになりそうだ。
「小型SUVは今もっとも勢いのあるセグメントで、XC40は新規顧客を獲得していく上でも重要なクルマになる」。ボルボ・カー・ジャパン社長の木村隆之氏は、同日に開いた新車発表会でこう述べた。小型SUVは世界的に人気で、XC40は生産が追い付かず地域で取り合いになっている状況という。
このため、初年度に日本市場に割り当てられた台数は1500台と少ない。2019年以降は年間3000台以上の販売を想定しており、現在最も売れている中型SUV「XC60」を抜く見込みである。通常のボルボ車では、既存顧客の買い替えと新規顧客の割合は「半分ずつ」(同氏)だが、XC40では「新規顧客が2/3を占めるのではないか」(同氏)と予測する。
400万円を切る価格を実現できたワケ
新規顧客を獲得する上でも、販売価格を抑えることが重要になる。新型XC40が最低価格を400万円以下に抑えられた理由の一つに、CMAの採用がある。CMAはVolvoブランドでは今回が初めての採用となるが、実は、先行して中国の浙江吉利控股集団(Geely Holding Group)の「LYNK&CO」ブランドの車両で使っている。
VolvoとLYNK&COはともに吉利汽車グループの傘下にあり、プラットフォームを共用することでコストを抑えた。CMAを採用する両ブランドの車両は同じラインで生産していく(関連記事:中国・吉利グループのLYNK & CO、ベルギーのVolvo工場で生産)。
CMAの基本構造は、Vovloの「90シリーズ」「60シリーズ」が使う中・大型車向けプラットフォーム「SPA(Scalable Product Architecture)」と同じ(関連記事:VOLVO、2020年の電動化戦略)。特徴は、車種によって変更しない「固定領域」と、自由に変更できる「可変領域」で分けた柔軟な設計にある(図2)。前輪の軸から前席足元の間は固定領域だが、全幅を含めてその他は可変領域だ。