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 ANAホールディングスは、ビジネスジェット事業に注力する。日本企業の中で同事業の経験が豊富な双日と共同で、2018年夏を目標に新会社「ANAビジネスジェット」を設立してビジネスジェットを活用したチャーター手配事業に乗り出す(プレスリリース)。新会社では、(1)ANAの国際線(定期便)からの乗り継ぎ便チャーターや、(2)日本から海外目的地への直行便チャーターを手配する。加えて、(3)空港到着後のリムジンや宿泊、会食のレストランの手配などの「コンシェルジュサービス」も行う(図1)。ANAホールディングスは、事業ポートフォリオの拡充や顧客満足度の向上などを狙う。新会社設立に合わせて、2018年3月28日、報道機関向け発表会を都内で開催した。

図1 新会社の事業内容
図1 新会社の事業内容
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 ビジネスジェット利用の利点として、「時間効率の最大化」をアピール(図2)。例えば、自分の都合で飛行できる「オンデマンド・チャーター便」による時間短縮や、空港内ビジネスジェット専用の発着エリアの利用による空港乗継時間の短縮などがある。さらに、機内でのプライバシーを確保できるので、機内会議で移動時間を有効に使える。時間短縮に関しては、発表会で2つの例を紹介した。1つは、中国内陸部への出張である。定期便を利用する従来の移動では、北京や上海といった中国の主要空港から、乗り継いで内陸部の都市に向かう場合、宿泊する必要があったが、ビジネスジェットであれば日帰り出張が可能になるという。

図2 ビジネスジェット利用の利点
図2 ビジネスジェット利用の利点
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 もう1つは、米国内での移動だ。例えば、日本からロサンゼルスに到着後、定期便を使ってフェニックス、サンフランシスコの順に移動し、再びロサンゼルスに戻ると、約4日間かかっていたという。それがビジネスジェットを使うことで、およそ2日間で済む場合があるとする。

 新会社の資本金は2億円で、ANAホールディングスが51%、双日が49%を出資する。新会社立ち上げ時は、北米での乗り継ぎ便や日本発の直行便の手配から開始する。2018年度下期には欧州での乗り継ぎ便も手配可能にする。2019年度には、ハワイ・ホノルルから周辺の島に乗り継ぐ便にまで対象を広げる考えである。新会社の売り上げ目標として、設立後「2~3年で約10億円」(双日 代表取締役社長の藤本昌義氏)を掲げる。