インド市場で、トヨタ自動車とスズキの思惑が一致した。両社は2018年3月29日、インドで完成車を互いにOEM(相手先ブランドによる生産)供給することで基本合意したと発表した。
具体的には、トヨタからスズキへは中型セダン「カローラ」のハイブリッド車(HEV)とガソリン車を供給することを予定している。スズキからトヨタには、小型ハッチバック「バレーノ」と小型SUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)「Vitara Brezza」を供給する(図1)。供給開始時期や台数規模、車両スペック、供給価格などの詳細については、今後両社で検討を進めていくという。
シェア6位と苦戦中のトヨタ
SIAM(インド自動車工業会)の統計によると、2016年度の乗用車市場におけるトヨタのシェアは4.7%で業界6位と苦戦している。理由の一つが販売車種のほとんどが中・大型車であることだ。
トヨタの現地合弁会社Toyota Kirloskar Motor社(TKM)で社長を務める立花昭人氏は、「インド市場では(小型の)A/Bセグメントの車両が7割を占める。しかも小型車の方が市場は拡大しており、当社のラインアップが追い付いていない」と分析する。今回の合意によってバレーノとVitara Brezzaをラインアップに加え、弱点だった小型車の領域で巻き返しを図る。