オートデスク(本社東京)は2018年4月5日、3D-CAD「Inventor 2019」など、製造業向けツールの新版を発表した。複数企業や遠隔地にいるメンバーが3Dの設計情報をクラウド上で共有する機能などを強化したほか、コマンドの操作体系を一部見直して使いやすさの向上を図ったり、大規模なアセンブリーを扱う際の待ち時間を短縮したりする改良を図った。3Dプリンター関連では、金属を肉盛りしていく指向性エネルギー堆積法(DMP:Direct Metal Deposition法)での造形用の制御データを生成する機能を設けた。
クラウドでの情報共有を目的として、Inventor 2019には3Dモデルから表示用データを生成して、クラウドにアップロードする機能を加えた(図1)。アップロードされた情報は関係者がビューワー「Autodesk View」で表示でき、コメントを書き込んだりメッセージを付けたりできる。この機能は「AutoCAD」「Moldflow」「PowerMill」「Civil 3D」「Alias」などのオートデスクのツールに共通に実装する。
直前のバージョンであるInventor 2018.2(2017年12月)では、クラウドのCAD「Fusion 360」との連携機能も強化した(図2)。もともとInventorには、ネットワークのさまざまな場所にある部品データなどを組み立ててアセンブリとして扱う機能があったが、部品データなどの場所をネットワークパスで記録していた。そのため、データの場所は社内LANなどに限られていたが、2018.2からはURLも扱えるようにした。これにより、Fusion 360のファイルをInventorから直接参照可能にした。
これらのクラウド対応機能は「中規模以下の企業に3D-CADを使ってもらう点でも重要」(営業技術本部マネージャーの加藤久喜氏)と位置付けている。