自動車メーカーが大きく変わろうとしている昨今、最終的に顧客に車を届ける販売店(ディーラー)も、業界やテクノロジーの変化に必死に追従しようとしている。他業界と同じく人手不足も深刻さを増しており、販売店改革は待ったなしの状況だ。
そんななか、トヨタ系の大手ディーラーである神奈川トヨタ自動車は2018年4月21日に、神奈川県小田原市に次世代店舗「小田原店」をオープンする。それに先立ち、同13日に内覧会を開催した。新店はもともと小田原にあった3店(旧・小田原店、小田原中央店、中古車を扱う小田原U-Carセンター)を統合した巨大店舗だ。新車と中古車を両方扱い、総勢40人が勤務する。旧・小田原店は、地元で50年以上も営業してきた老舗トヨタ店である。
生まれ変わる小田原店は、自動車業界の激変や顧客の多様化、今後の人手不足に対応するため、最新のITを随所に取り入れている。例えば、車で来店した既存顧客のナンバープレートを入り口のカメラで読み取り、店舗受付にいるマネジャーに来店(来場車両)を知らせる「ナンバーキャッチシステム」。マネジャーは営業担当者に顧客が来店したことをインカムで伝える。
ナンバーキャッチした時点で顧客ごとに時間のカウント(タイムスタンプ)が始まり、顧客ステータスが「来店待ち」から「ご来店」に変わる。そして営業担当者が顧客を出迎えると「接客中」になる。さらに顧客をどの席に案内したか、来店から何分滞在しているか、いつ帰ったかなども分かるようになっている。これが「おもてなし支援システム」と呼ばれるものだ。
これらの仕組みは、米セールスフォース・ドットコムの顧客管理システムと、パナソニックのナンバー認識システムを組み合わせて構築した。
新店のオープンと同時に現場のシステムやオペレーションを大きく変えると、営業担当者が混乱する可能性がある。そのため、開発済みであっても導入を先送りしているシステムもある。ナンバーキャッチで得た来店情報を営業担当者のスマートフォンに通知する機能がそれだ。こうした新機能は新店のオペレーションに慣れてきたら順次、現場に広げていく。