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 プロジェクト管理に使うWBS(ワークブレイクダウンストラクチャー)はほぼベンダーが作っている――。日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は2018年4月26日、「ソフトウェアメトリックス調査2018」の報告会を開催した。調査結果から、プロジェクト管理をベンダー任せにしているユーザー企業の実態が浮き彫りになった。

 この調査は、ユーザー企業を対象にしたシステムの開発・保守・運用の実態調査。JUASが2005年から実施している。このうちシステム開発については、2016年までプロジェクトの採用技術、規模、工数、コスト、品質を中心に調査していた(2017年は調査を実施しなかった)。今回は質問票の抜本的な見直しを実施し、プロジェクト管理やシステム設計手法も調査対象にした。

 WBSを取り巻くユーザー企業の実態は、今回の調査で初めて判明した。WBSとは、プロジェクトの達成に必要な作業や成果物を分解した一覧のこと。プロジェクト管理では要となる存在だ。

 調査結果によれば、「要件定義」「設計~統合(結合)テスト」のどちらのフェーズでも約8割のプロジェクトでWBSの作成主体は受注者(ベンダー)だった。ユーザー企業側で最後に実施する「ユーザー総合テスト」のWBSですら、過半数のプロジェクトでベンダー任せだ。

フェーズ別WBSの作成主体
(出所:JUAS、一部編集部で加工)
作成主体要件定義設計~統合(結合)テストユーザー総合テスト
件数割合件数割合件数割合
発注側612.2%35.6%1128.2%
受注側3877.6%4583.3%2256.4%
自社(自社開発の場合)510.2%611.1%615.4%
合計49100.0%54100.0%39100.0%

 加えて、ほとんどのプロジェクトが「WBSの項目の消化」を進捗管理の測定基準にしている。ベンダーが作ったWBSを基に、そこに書かれた作業(アクティビティ)や成果物(ワークパッケージ)で進捗を管理している――そんなユーザー企業のプロジェクト管理の実態が調査結果から透けて見える。

フェーズ別進捗管理の測定基準(複数回答)
(出所:JUAS、一部編集部で加工)
基準項目要件定義(n=53)設計~統合(結合)テスト(n=56)
件数割合件数割合
WBSの項目の消化4483.0%5089.3%
成果物の作成完了数2852.8%3358.9%
成果物の作成ページ数23.8%23.6%
課題の消化2445.3%2341.1%
その他00.0%11.8%

 調査を担当したJUASの小田滋主席研究員は「ユーザー企業にWBSの作成能力がないのかもしれない」と危機感を募らせる。WBSを進捗管理の測定基準にしているという調査結果を考えると、ユーザー企業がプロジェクトの適正なスケジュールを把握できていない可能性すらある。