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 「北米事業を立て直すプロジェクトに着手した。2020年度には営業利益率を8%に高める」。トヨタ自動車副社長の小林耕士氏は、2018年5月9日に開いた2017年度(2017年4月~2018年3月)の連結決算会見でこのように述べた(図1)。

トヨタ自動車副社長の小林耕士氏
図1 トヨタ自動車副社長の小林耕士氏(右)
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 同社の2017年度の北米事業を見ると、販売台数は前年度に比べて1.1%減少の280万6000台だった(図2)。売上高は10兆5744億円、営業利益は1388億円であり、売上高営業利益率は1.2%に激減した。2016年度の利益率は3.0%だった。他の主力市場の利益率は日本が10.3%、アジア(中国を含む)が8.5%であり、北米事業の収益悪化が際立つ。

2017年度の世界販売台数
図2 2017年度の世界販売台数
(出所:トヨタ自動車)
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 収益悪化の最大の原因は、インセンティブ(販売奨励金)の増加である。SUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)「RAV4」などライトトラックの販売は好調だったが、「カローラ」など乗用車の販売が苦戦した。乗用車の販売台数を確保するためにインセンティブを増やした結果、販売台数自体は微減にとどまったが、収益は大きく悪化した。