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 1990年代後半から2000年代前半ごろに日本でも導入が相次いだSCM(サプライチェーン管理)ソフトの「i2」と「Manugistics(マニュジスティックス)」。両製品を有する老舗SCMベンダーの米JDAソフトウェアが、最新のデジタル技術をSCMに組み込むデジタルシフトを進めている。日本を含む世界で2018年5月、クラウドサービス「JDA Digital Control Tower」の提供を始めた。インターネット・オブ・シングス(IoT)によるデータ収集や人工知能(AI)による未来予測などを駆使した「デジタルSCM」の中核サービスという位置づけだ。

 「当社を個別の製品を提供するベンダーと捉えている人がまだ多い。新サービスでこのイメージを覆していきたい」。JDAソフトウェア・ジャパンの尾羽沢功社長は意気込む。

リアルタイムでデータ取得、対応シナリオを提示

 Digital Control Towerは調達や生産から物流、販売までのSCM関連情報をリアルタイムで収集し、状況に応じた意思決定を支援する。グーグルのクラウドサービス「GCP(Google Cloud Platform)」を利用し、JDA製品や外部情報サービスなどのデータを活用する。

「JDA Digital Control Tower」の画面例。在庫や配送の状況をリアルタイムで把握できる
「JDA Digital Control Tower」の画面例。在庫や配送の状況をリアルタイムで把握できる
画像提供:JDAソフトウェア・ジャパン
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 リアルタイムで情報を見える化するだけでなく、トラブルが生じた際に対応するためのシナリオを提示するのが特徴だ。ある食品でリコールが発生した場合を例にとると、「世界のどこにその食品の在庫が滞留しているか、移送中なのかをリアルタイムで把握できる」(JDAソフトウェア・ジャパンの白鳥直樹執行役員)。JDAは洋上運送などの状況をリアルタイムで把握する米トランスボイヤント(TransVoyant)と提携、同社のサービスを利用している。

対応策として考えられるシナリオ候補をリスクとともに提示する
対応策として考えられるシナリオ候補をリスクとともに提示する
画像提供:JDAソフトウェア・ジャパン
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 Digital Control Towerは得られた情報を基に、トラブル対応の方策として考えられるシナリオ候補をリスクとともに提示する。シナリオ1は「商品の回収に16日かかり、リスクが高い」、シナリオ2は「8日かかり、リスクが低い」などとダッシュボードで示す。