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 「棚割りは店舗の顔であり、売り上げを左右する重要な要素。説得力のある棚割りを提案するため、新システムは大きな武器になる」。こう語るのはキリンビールのマーケティング本部営業部の嶋津圭アナリストグループリーダー(取材時)。同社が2018年5月に稼働させた、棚割りのデータを自動生成する画像解析システムの意義を力説する。

 棚割りとは小売店の店頭における商品の陳列方法のこと。キリンビールは画像認識の技術を活用し、スマートフォンのカメラで棚を撮影するだけで現状の棚割りを示すデータを即座に生成するシステムを稼働させた。画像認識の精度は9割以上だ。棚割りデータを作成する手間を大幅に減らして分析作業を効率化。小売店への提案力を高め、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの売り上げアップにつながる効果的な棚割りを効率よく作るのが狙いだ。

スマホで棚の写真を撮影するだけで現状の棚割りデータを自動作成する
スマホで棚の写真を撮影するだけで現状の棚割りデータを自動作成する
(写真提供:キリンビール)
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 2015年春から画像解析システムの企画を始めた。画像解析技術に強みを持つNECが試用環境でシステムを構築し、2016年5月から8月にかけて実証実験をして使い勝手や効果を確かめた。その後2017年1月から要件定義、4月から9月にかけてシステムの開発やテストを実施し、10月から12月に営業現場での実証を実施したうえで2018年5月に稼働させるに至った。各店舗を訪問して現在の棚割りを本部に報告する店舗営業担当と、報告結果を基に現状を分析したり新たな棚割りを作成したりする本部営業担当の合計数百人がシステムを利用する。

 プロジェクトはキリンビールのマーケティング部と情報システム部、NECの営業部門とSEで進めた。従来はベテランでも1つの棚だけで1時間以上かかっていた棚割りデータの作成時間を、7分と約10分の1に短縮した。

 画像解析システムはスマートフォン(スマホ)の撮影用アプリと写真データを受け付けるサーバー、およびAmazon Web Services(AWS)上に構築した画像解析エンジンから成る。キリンビールの店舗営業担当がアプリを使って店舗の棚を撮影し、画像をサーバーへ送信すると、サーバーを介して写真データがAWSに届く。AWS上の画像解析エンジンが色のコントラストや模様といった商品の特徴量を抽出。同じくAWS上にある商品の画像マスターデータと照合・識別して、商品の種類やフェース数(陳列数)、配置の座標データなどから成る棚割りデータを自動生成する。

 本部の営業担当者が棚割り提案業務を支援する棚割りソフトで同データを読み込むと、PCの画面上に商品画像を並べた棚割りを再現できる。事前に作った棚割り計画や販売実績データと突き合わせ、フェース数や種類、棚における配置、競合他社の商品との位置関係などを新たに定めた棚割り提案を作る。

 メーカーは商品の味や品質はもちろん、缶のデザインや商品名など、全てのメーカーは自社商品を魅力的に見せるために全力を注ぐ。棚割りは商品の企画から製造、マーケティングまでの成果を発揮する、いわば商品の晴れ舞台である。