「アレクサ、エアコンを付けて」「OK グーグル、明日の天気を教えて」――。米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)や米グーグル(Google)などの大手クラウド企業を中心に、機械を声で操作するVUI(ボイスユーザーインタフェース)実現に向けた汎用の音声AI(人工知能)の技術開発が進んでいる。そんな中、組み込み向けの用途特化型音声AIを独自に開発するフランスの企業が、日本市場に参入する。
「我々の目標は、今後10年間で地球上の全ての機械に音声アシスタントを搭載することだ」。こう話すのは、音声AIのOEM提供を手掛ける仏スニップス(Snips)創業者兼CEOのRand Hindi氏だ。Snipsは、B2B向け音声アシスタント開発プラットフォーム「Snips」の日本語版を開発、2018年6月に提供開始する。プラットフォームの利用企業は、Snipsの要素技術を用いて日本語の音声アシスタントを容易にカスタマイズし、自社製品に導入できる。想定するユーザーは、家電やロボット、自動車などの機器メーカーだ。
Snipsの技術の特徴は、音声認識や自然言語理解などの処理を完全にエッジ機器側で実行可能なことだ。そのメリットは3つある。まず、インターネット接続のない環境でも利用できる点。次に、クラウドを介さないためエッジで高速に処理でき、クラウド利用料が不要なこと。そして最後が、ユーザーの音声データのプライバシー保護である。