ホンダが2017年末に北米で発売した「クラリティ プラグイン ハイブリッド」(クラリティPHEV)。2モーター式ハイブリッド車(HEV)機構「i-MMD」と組み合わせるガソリンエンジンの排気量を、従来の2.0Lから1.5Lに“ダウンサイジング(小排気量化)”したことが特徴だ。電力昇圧器の体積出力密度で「世界一」(ホンダ)とする技術を投入し、モーター走行範囲を広げて実現した。

ホンダは、2018年4月に米国で開催された米自動車技術会(SAE)主催の学術講演会「WCX18:SAE World Congress Experience」や同年5月の「自動車技術会春季大会」で、クラリティPHEVに採用した技術を発表した。
クラリティは、全長が約4.9mの比較的大きな車両である。エンジンを1.5Lに小排気量化できたのは、電池電圧を昇圧するDC-DCコンバーターとリチウムイオン電池の出力を高められたことが大きい。モーター走行範囲を増やし、エンジンを直結する範囲を減らせた。エンジンに必要な出力を抑えられて、小排気量化できた。
モーター走行範囲の拡大は、ハイブリッド走行中のエンジン回転速度を下げられる利点もある。燃費性能と静粛性の向上につながる。例えば車速が60km/hのとき、従来はエンジン回転速度が5000rpmまで高まるが、クラリティPHEVでは3000rpm以下にとどめられた。
インダクター出力密度で「世界一」達成
ホンダはクラリティPHEVの開発で、燃費性能ではなく「電動で走る魅力を訴える」(本田技術研究所第1技術開発室第1ブロック主任研究員の若城輝男氏)ことを重んじて、出力性能の向上に力点を置いた。燃料代が安い現在の北米で、燃費性能を訴求しても消費者に響かないと考えたようだ。
車両全体の最高出力は、2.0Lエンジンi-MMDを搭載した「アコード」のPHEVに比べて、1割近く高い約158kWに達する。EV走行中の最高速度は100マイル/時(約160km/h)と速い。