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 KDDIやフィンランド・ノキア(Nokia)の日本法人らは、コネクテッドカー(つながるクルマ)向けの実証実験を北海道豊頃町で実施した(図1)。道路上にある障害物の情報やGPS(全地球測位システム)の精度を高める補強情報などを、数km圏内の範囲の車両に一斉に送信できることを確認した。

図1 KDDIとノキアは北海道豊頃町で、「Cellular V2X(C-V2X)」というコネクテッドカー向け技術の実証実験を実施した
図1 KDDIとノキアは北海道豊頃町で、「Cellular V2X(C-V2X)」というコネクテッドカー向け技術の実証実験を実施した
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 こうした技術は「一斉同報配信」と呼ばれ、一つの電波帯域を共用して多くの相手に情報配信できる特徴がある。1対1で通信する「個別配信」では多くの電波帯域が必要になるのに対して、「電波の利用効率を向上できる」(KDDI技術統括本部技術企画本部コネクティッド推進室室長の鶴沢宗文氏)という。

 「クルマにはLTEの携帯電話回線が搭載されるようになり、将来的には第5世代移動通信システム(5G)へと進化していく。広域の通信を実現できる携帯電話網の特徴を活用することが、自動運転時代のコネクテッドカーにおいて重要になる」。ノキアソリューションズ&ネットワークス技術統括部部長の柳橋達也氏はこう語る。

基地局のそばに小型サーバー

 実験では、4G(LTE-Advanced/LTE)の携帯電話網を使った一斉同報配信技術を検証した。「eMBMS(LTE Evolved Multimedia Broadcast Multicast Service)」という技術を使った。エリア内の受信を希望する全端末に向けて、同一のデータを、同一の周波数帯域で送信するものである。

図2 携帯電話基地局のそばに、MEC(Multi-access Edge Computing)と呼ばれるデータ処理サーバーを配置した
図2 携帯電話基地局のそばに、MEC(Multi-access Edge Computing)と呼ばれるデータ処理サーバーを配置した
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 携帯電話網を使った一斉同報配信(eMBMS)は、スタジアム内の観客への映像配信の用途で実用例があるが、クルマへの適用は「今回が世界で初めて」(柳橋氏)。エリアを問わずにデータをばら撒くのではなく、必要な範囲内だけに配信できるようにするため、携帯基地局のそばに小型のデータ処理サーバー「MEC(Multi-access Edge Computing)」を置いた(図2)。データの処理や配信先などを決める役割を担う。