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 トヨタ自動車が「水素戦略」で奮闘している。同社は2018年6月6日、小型の燃料電池(FC)トラックを開発し、2台をセブン-イレブン・ジャパンに供給すると発表した(図1)。2019年春に試験運用を始め、冷蔵・冷凍車両として牛乳や弁当などを店舗に運ぶ。最大積載量は3トン。約5分の水素充填で200kmを走れる車両を目指した。開発期間は1年未満と、“突貫工事”で形にした。

図1 トヨタ自動車が開発した小型燃料電池(FC)トラック、斜め前から
図1 トヨタ自動車が開発した小型燃料電池(FC)トラック、斜め前から
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 FCトラックは電気自動車(EV)トラックよりも優れている点が多い――。発表会に登壇したトヨタ副社長の友山茂樹氏は「(EVに比べて)1充填あたりの航続可能距離は長く、充填にかかる時間が短いのが特徴だ」と期待を寄せる(図2)。

図2 発表会に登壇したトヨタ副社長の友山茂樹氏
図2 発表会に登壇したトヨタ副社長の友山茂樹氏
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 例えば、セブン-イレブンが2017年11月から配送に導入している三菱ふそうトラック・バス製の小型EVトラック「eCanter」の航続可能距離は1充電あたり100kmにとどまる。容量の80%を充電する「急速充電」でも約90分が必要で、FCトラックの約5分とは大きな差がある。

 事業者が収益の向上を追求する商用車にとって、最優先なのは車両の稼働率を高めることだ。特にセブン-イレブンは、同一車両を複数人で24時間使う運用モデルを想定している。EVトラックのように90分を充電に使う余裕はない。運用するセブン-イレブンとしては、配送の用途や距離に応じてFCトラックとEVトラックを使い分ける考えだ。

 トヨタが開発した小型FCトラックは、まだ試作車の域を出ておらず、量産化のめどは立っていない。日本全国に2万店舗を構えるセブン-イレブンで運用実績を積み、膨大な走行データを蓄積して開発に生かす考えだ。商用車事業を統括するトヨタ専務役員の小木曽聡氏は、「試験運用を通してFCトラックの需要を把握したい。量産化を目指して、車内レイアウトやプラットフォーム(PF)の刷新に役立てる」と語り、市販化にはセブン-イレブンとの連携が重要であることを強調した(関連記事:セブンとトヨタが次世代のコンビニSCM構築で共同プロジェクト)。