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 2018年5月に米オキュラスVR(Oculus VR)が発売した単体動作(スタンドアロン)型ヘッドマウントディスプレー(HMD)「Oculus Go」は、これまでVR(Virtual Reality)用HMDを購入しなかったユーザーの手にも届き始めている。Oculus Goを製造した中国の大手家電メーカー小米(シャオミ、Xiaomi)が中国市場向けに販売する公式通販サイトには、同年6月1日の発売日に3万台が3分で売り切れたという調査会社の報告がある。在庫が補充される同年6月11日出荷分の予約数は7万台近くにのぼった。オキュラスVR自身は現時点でOculus Goの出荷台数を公表していないが、中国市場だけでも約10万台がユーザーの手に渡ったことになる。

Oculus Goの外箱の上蓋を外した状態の写真。中央の黒い箱に取扱説明書や充電ケーブルなどの付属品が収納されている。HMDと黒い箱の間に見えるのが付属コントローラーである。
Oculus Goの外箱の上蓋を外した状態の写真。中央の黒い箱に取扱説明書や充電ケーブルなどの付属品が収納されている。HMDと黒い箱の間に見えるのが付属コントローラーである。
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 Oculus GoがこれまでのHMDと大きく異なる点は2つある。1つは価格が安いことである。Oculus Goは、記憶容量が32Gバイトと64Gバイトの2種類から選べて、価格は前者が2万3800円(税込み)、後者が2万9800円(同)である。スタンドアロン型なので、外部機器とケーブルで接続せずに使用できる。従来のHMDは、接続するパソコン(PC)やスマートフォン、家庭用ゲーム機などを含めると10万円以上必要だった。例えば、オキュラスVRが以前から販売している、PCとの接続が必要なHMD「Oculus Rift」の価格は5万円(同)だが、動作要件を満たすPCの価格は約10万円とされ、新規に購入すると計15万円程度となる。

 同時期に発売されたスタンドアロン型HMDはもう1台あり、2018年5月に中国レノボ(Lenovo)が発売した「Lenovo Mirage Solo with Daydream」(以下、Mirage Solo)である。Mirage Soloは、米クアルコム(Qualcomm)のチップセット「Snapdragon 835」を使用する。前面に2つのカメラを搭載し、ユーザーの頭部の3方向の直線移動に加えて、ヨー/ピッチ/ロールの3軸の回転も検出する「6DoF(Degrees of Freedom)」対応で、価格は5万5296円(同)である。

 一方のOculus Goは、頭部の3軸の回転だけを検出する「3DoF」対応と割り切っている。加えて、2016年に発表されたクアルコムの「Snapdragon 821」を使用することで、安価にしたとみられる。Snapdragon 821は、オキュラスVRが共同開発した韓国サムスン電子のスマートフォン向けHMD「Gear VR」の対応スマートフォンにも搭載されていた「Snapdragon 820」の性能向上版だが、現在では数世代前の製品だ。さらに、両製品ともスマートフォン向けの液晶ディスプレー(LCD)を転用して価格を抑えている。

画像左が「Oculus Go」、右が「Lenovo Mirage Solo with Daydream」の外観。Mirage Soloの前面には、6DoF対応用に2つのカメラが搭載されている。
画像左が「Oculus Go」、右が「Lenovo Mirage Solo with Daydream」の外観。Mirage Soloの前面には、6DoF対応用に2つのカメラが搭載されている。
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 これまでのHMDとのもう1つの違いは、Oculus Goが手軽に利用できる点が挙げられる。例えば、PCに接続する従来のHMDは、外部センサーや接続用のケーブルが必要で、使いたいと思ってもPCを起動してケーブルをつなぐといった準備が手間だった。Oculus Goは、手に取ってかぶればすぐに起動するので、使用するまでのステップが格段に少なくなる。仮想空間を動き回るような機能を制限したことで、プレーエリアや外部センサーの設定などが不要となり、初期設定やコントローラーの操作チュートリアルの手順も短くなって、初めてVR用HMDを購入したユーザーに優しいと感じる。

 価格の安さは数字で判断できるが、どの程度手軽になったかは実際に試してみないとわからない。そこで、開発者版Oculus Riftが発売された頃から現在まで6台のVR用HMDを所持する筆者は、Oculus GoとMirage Soloを購入して試してみた。結果として、Oculus Goが映像視聴に特化しようとしたことで手軽さが生まれたと感じられた。本記事では、両製品を比べながら(1)持ち運びやすさ(2)初期設定の手軽さ(3)映像視聴に特化した理由の3項目について特徴を紹介する。

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