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 種子島が1週間ぶりの晴天に恵まれた2018年6月25日、種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)にごう音が響き渡った(図1) 。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めている次期主力ロケットエンジン「LE-9」の実機型エンジン*1の燃焼試験が実施されたのだ。

図1 2018年6月25日に燃焼試験を実施した次期主力ロケットエンジン「LE-9」の実機型エンジン(出所:宇宙航空研究開発機構)
図1 2018年6月25日に燃焼試験を実施した次期主力ロケットエンジン「LE-9」の実機型エンジン(出所:宇宙航空研究開発機構)
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 午後4時16分。実験場周辺には水蒸気の”白煙”*2が舞い上がって太陽を隠し、一瞬曇天のようにかげった (図2)。試験時間は3分38秒間。予定通りに液体水素ターボポンプの入り口圧力が下限値に達し、エンジンが自動停止した。

図2 「LE-9」の実機型エンジンの燃焼試験が実施された種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)。約3000℃という高温のガスを吹き出すエンジンの冷却時に発生した水蒸気などが舞い上がっている。
図2 「LE-9」の実機型エンジンの燃焼試験が実施された種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)。約3000℃という高温のガスを吹き出すエンジンの冷却時に発生した水蒸気などが舞い上がっている。
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 試験終了後、JAXA第一宇宙技術部門H3プロジェクトチームプロジェクトマネージャの岡田匡史氏は集まった報道陣に、「試験条件をコントロールして正常にエンジンを止められた」と燃焼試験の成功を報告。「飛行状態に近い、最も厳しい条件下でエンジンのデータを取得できた。これからデータをくまなく確認して、次の試験で用いるエンジンの設計に反映したい」と述べた(図3)

図3 試験終了後、集まった報道陣に燃焼試験の成功を伝えるJAXA第一宇宙技術部門H3プロジェクトチームプロジェクトマネージャの岡田匡史氏。後ろに見えるのが、LE-9の燃焼試験スタンド。
図3 試験終了後、集まった報道陣に燃焼試験の成功を伝えるJAXA第一宇宙技術部門H3プロジェクトチームプロジェクトマネージャの岡田匡史氏。後ろに見えるのが、LE-9の燃焼試験スタンド。
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*1 エンジンの試作は、あくまで機能・性能を試験する「実機」段階と、軽量化するなどして実際にフライトする際を想定した「認定」段階の2つに大きく分かれる。今回の燃焼試験は、実機段階の最終試験に当たる。

*2 エンジンからは約3000℃という高温のガスが吹き出る。このガスの冷却に水を使うため、冷却時に発生した水蒸気などが「煙」のように外部に吹き出す。