政府は2018年7月23日から27日までの1週間、企業を中心にテレワークの試行を促す全国キャンペーン「テレワーク・デイズ」を実施する。2017年7月に続く2度めのキャンペーンで、1日だけの「テレワーク・デイ」を5日間に拡大。昨年の2倍の参加企業を募る。フレックスタイムなど様々な制度を組み合わせることを推奨し、昨年より多様な働き方を示すショーケースのイベントと位置付ける考えだ。
背景にあるのが2019年4月に施行される働き方改革関連法だ。残業時間を原則として1カ月で45時間まで、1年で360時間までと設定。社員の労働時間が上限を超えるなどした企業には罰則を科す。
企業は従業員の生産性を高める取り組みがこれまで以上に求められるようになる。そこで政府はノートPCやスマートフォンを有効活用し、場所を問わず仕事ができるテレワークを勧めているわけだ。
「テレワークは皆がすぐに始められる働き方改革だ」。旗振り役の1人である世耕弘成経産相は2018年6月26日、東京都内で開催したテレワーク・デイズのプレイベントでこうアピールした。総務省が2018年5月に公表した調査結果によると、テレワークの導入企業は全体の13.9%にとどまる。「テレワークの普及を阻む大きな要因は、仕事は会社に来てするものだといった経営層を含む企業内の根強い意識。テレワーク・デイズはこの意識の改革を促す国民運動だ」。野田聖子総務相も意義を強調した。
業界や所在地問わず参加呼びかけ
政府は今回のテレワーク・デイズを「より多くの企業に、より踏み込んでテレワークを試してもらう」キャンペーンにする考え。より多くの企業の参加を狙っているのは、「前回のテレワーク・デイの参加企業はIT業界や都市部の大企業に偏っていた」(総務省の渋谷闘志彦情報流通高度化推進室長)からだ。
これを受けて政府は経団連などの経済団体に協力を要請し参加を広く呼びかけている。さらに総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省などテレワーク・デイズを推進する省庁が管轄する業界各社や、地方局を介して全国各地の企業にも参加を促している。
もう1つの「より踏み込んで」については、テレワーク・デイの実施後、政府内部から「テレワークを試すだけでは、働き方改革としては不十分」といった意見が出てきたことがきっかけだ。そこで今回はキャンペーン期間中にフレックスタイム制度などとテレワークを組み合わせて多様な働き方を試すことも、参加企業に促す。「企業の現場担当者から新しい働き方のアイデアが自然に出てくる機運を、テレワーク・デイズで盛り上げていきたい」と渋谷室長は期待する。