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 ドイツ・シェフラー(Schaeffler)の日本法人はシフトレバーの機構にアクチュエーターを組み込むことで、パーキング(P)レンジを電動化する技術を開発し、試作品を披露した(図1)。2020年以降の量産を目指して開発を進め、自動車メーカーや変速機メーカーに訴求する。車両の自動運転化を契機にシェアの拡大を狙う。

図1 Schaeffler日本法人が試作したPレンジの電動化機構
図1 Schaeffler日本法人が試作したPレンジの電動化機構
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 エンジンと変速機を組み合わせた一般的な車両のPレンジは、内部のケーブルを機械式の機構で引っ張り、変速機のギアを固定していた。

 電動のアクチュエーターでギアを固定できるようにすれば、シフトレバーをスイッチに置き換えやすくなる。Schaeffler日本法人は「操作性や内装デザインの観点から、Pレンジをスイッチ化する流れは加速しそうだ」と分析する。

図2 試作品の概要
図2 試作品の概要
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 他のシステムと組み合わせて制御しやすいことも利点の一つ。例えば自動運転。電子制御で動かせるため、従来の機械式に比べて可動のタイミングを管理しやすくなる。一定の条件下でPレンジに自動でギアを入れる設定にしておけば、運転者による誤操作を減らせる。「人の介入を減らすのが安全への近道だ」(同社)という。

 開発品の最大操作力は450Nで、出力は80Wである。最大で17mm動かせる(図2)。量産までの課題は機構の小型化だ。モーターと制御コントローラーを組み合わせた大きさは縦85×横55mmで、最も一般的なタバコの箱(縦88×横55mm)と同程度となっている。

 Schaeffler以外の海外部品メーカーも同様のコンセプトで開発を進めているとし、機構の小型化が自動車メーカーへの供給を勝ち取るための競争領域になっているようだ。