PR

 ITエンジニアが多い職場で好まれる「Slack」に対し、個人事業主や中小企業に強い「ChatWork」――。ビジネスチャットの日米大手が日本市場で顧客基盤を広げるための拡販に乗り出す。これまでビジネスチャットに縁遠かった大企業や一般企業への拡販を狙う。政府が推進する「働き方改革」を追い風に、自他共に認める市場の棲み分けを自ら崩す考えだ。

 第一の拡販策は営業体制の強化だ。Slackを提供する米スラックテクノロジーズの日本代表を務める佐々木聖治カントリーマネージャーは、今秋をメドに日本法人を現在の10人弱から約30人体制にするなど、日本で法人営業に本格的に取り組む方針を明らかにした。特に非IT系企業への拡販で注力するのが、業務にあったビジネスチャット導入をコンサルティングする専門職の増強だ。「営業職とは別に採用・育成し、現在の2人から15人程度の体制にする」(佐々木カントリーマネージャー)。

Slackのイベントでユーザー企業担当者とともに登壇するスラックテクノロジーズのスチュワート・バターフィールドCEO(右端)と日本法人の佐々木聖治カントリーマネージャー(左端)
Slackのイベントでユーザー企業担当者とともに登壇するスラックテクノロジーズのスチュワート・バターフィールドCEO(右端)と日本法人の佐々木聖治カントリーマネージャー(左端)
[画像のクリックで拡大表示]

 ChatWorkの提供元であるChatWork(東京・港)も、大企業への営業体制を強化する。2018年1月に強みとしている中小企業市場から大企業市場への本格参入を発表しており、現在は営業体制の増強に取り組んでいる。営業・マーケティング職を40人弱と、2016年秋に営業部隊を創設した時から倍増させた。導入企業についてもジャパンネット銀行や大和証券など「金融機関での実績が増えてきた」(山本正喜社長)。1社で実利用者数が3500人と、同社としては最大規模の導入案件も新たに開拓した。

アプリ連携、ChatWorkは「和製業務アプリ」に強み

 大企業向け拡販策の2つめは連携できる業務アプリケーションの充実だ。チャットを通じて文書ファイルや業務データを共有する、スマートフォンで撮影した伝票をチャットで送信すると自動的に経費精算処理を実行するなど、チャットを起点に様々な業務処理を実行できるようにする。業務アプリと連携させるためのプログラミング作業は不要で、簡単な設定を施すだけでチャットとアプリでデータを交換したり処理を実行したりできるようにする。

 国内での業務アプリ連携で先行するのはChatWorkだ。日本企業に人気の高い業務アプリとの連携をさらに進める。既にファイル共有のBoxのほか、マネーフォワードが提供する経費精算の「MFクラウド経費」、サイボウズのクラウド開発基盤である「kintone」、ウイングアーク1stの業務データ分析「MotionBoard」、キャップクラウドの勤怠管理「Focus U タイムレコーダー」などが連携済みだ。

 連携できるアプリ数をさらに増やすため、API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を2017年秋に刷新して連携を開発しやすくした。

 Slackは「日本語ネイティブで連携できるアプリケーションを早期に100に増やす」(佐々木カントリーマネージャー)。英語版のSlackと連携できるアプリは200を超えているが、メニューなど操作性も含めて日本語環境で正しく動くアプリは現時点でファイル共有のBoxなど「10程度にとどまる」(同)。