来日した米Wind River(ウインドリバー)のGareth Noyes氏(Chief Strategy Officer)は2018年7月11日、東京にある日本法人「ウインドリバー」のオフィスで報道機関向け会見を開き、米Intel傘下から独立したことや、ここ数年採ってきた新戦略などを説明した。
Intelは組み込み分野への進出戦略の一環として2009年にWind Riverを買収した(関連記事1)。その後、PC向けのMPU(Microprocessor)よりは演算能力は低いもののメモリーや周辺回路を内蔵したMCUタイプの製品も投入したりした。が、ここ数年はデータセンターなど向けのサーバー関連製品への傾斜を強めている。IntelによるWind Riverの米投資会社TPG Capitalへ売却は、こうした変化に沿ってのことだろう(関連記事2)。今回の会見で、Noyes氏は、TPG CapitalによるWind Riverの買収が6月25日に完了したことを報告し(ニュースリリース)、再び独立したソフトウエアベンダーとして歩みだしたことを宣言した。
今回の会見で同氏は、報道機関からの質問に答える形で、Intel傘下のメリット、およびIntel傘下を離れたメリットについて説明した。Intel傘下に入ったメリットは「ITのことをいろいろと学べたことが大きな収穫だった」と述べ、かつては顧客のほとんどが組み込み分野だった時代と比べてWind Riverがリーチできる分野が増えたことを訴えた。Intel傘下は離れたものの、「Intelとは同じエコシステムの一員であることに変わりはなく、独立したソフトウエアベンダーとしてIntelのハードウエアをサポートする」とも述べた。
一方、Intel傘下を離れたメリットについては、Intel以外のハードウエアのサポートを請け負いやすくなったことをアピールした。「IT分野ではIntelのプロセッサーが強いが、組み込み機器やIoTのエッジではArmコアベースのプロセッサーに勢いがある。これまでもArmコアプロセッサーのサポートは可能だったが、Intel傘下を離れたことで、やりやすくなったことは確かだ」(同氏)。