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 米Intel(インテル)社は、ファブレスASICメーカーの米eASIC社を買収することを、Dan McNamara氏(corporate vice president and general manager of Programmable Solutions Group)のブログの形で発表した(当該ブログ)。買収先の社名にも入っている「ASIC:Application Specific Integrated Circuit」とは、顧客ごとにハードウエア的にカスタマイズできるICの総称である。

IntelのSanta Claraにある本社前で2018年7月12日に撮影されたIntelの写真
IntelのSanta Claraにある本社前で2018年7月12日に撮影されたIntelの写真
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 McNamara氏が率いるProgrammable Solutions Group(PSG)は、2015年12月にIntelがFPGAメーカーの米Altera(アルテラ)社を買収して発足した部門である(関連記事1)。AlteraのFPGAはチップ内に多数のSRAM製スイッチを内蔵しており、電源を入れるたびにスイッチのデータをチップ外から読み込んで顧客ごとのカスタマイズを行う。スイッチの切り替えをハードウエア的なカスタマイズとみなせば、FPGAはASICの1種と言える。

 一方、eASICが提供するのは、ストラクチャードASICである。こちらは半導体製造工程の途中で、顧客ごとに異なるマスクを使ってカスタマイズする。FPGAがICとしては顧客に共通であるのに対して、ストラクチャードASICは顧客ごとに異なったICになる。このため、一般にFPGAよりもストラクチャードASICは性能が高い。例えば、高速処理ができたり、消費電力が低かったりする。一方でカスタマイズに使うマスクの費用が必要なため、FPGAよりはユーザーの取得コストは上昇する。なお、顧客ごとに異なるマスク数を増やすことで、ストラクチャードASICよりもさらに性能が高いASICを作ることができる。例えば、スタンダードセル方式と呼ばれるASICがそれである。

 ストラクチャードASICは、ICの金属配線層向けのマスクだけをカスタマイズに使う(ゲートアレーと呼ばれるASICもこれと同じカスタマイズ方式)。一般にICには金属配線層が複数あり、カスタマイズする配線層を増やすことで、ICの性能を上げやすくなる一方で、カスタマイズのコストが増す。eASICのストラクチャードASICは、カスタマイズするのが金属配線層の数が1つと少ないのが最大の特徴である。現在、同社は台湾TSMCの45nmおよび28nmプロセスで作るストラクチャードASICを用意している。