ロボティクスやヘルスケア事業を手がけるセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ(東京・港)。同社は現在開発を進めている、世界初の全自動衣類折り畳み機「ランドロイド(Laundroid)」の試作機を展示する都内のショールームを2018年7月19日にリニューアルし、その会場で日経 xTECHの取材に応じた。

ランドロイド・ギャラリーに置かれた試作機。6代目に相当し、現在は7代目を開発中。7代目で製品化できる見通しが立った
ランドロイド・ギャラリーに置かれた試作機。6代目に相当し、現在は7代目を開発中。7代目で製品化できる見通しが立った
[画像のクリックで拡大表示]

 セブン・ドリーマーズは当初、ランドロイドの出荷を2017年度中としていた。しかし2017年11月の会見で、2018年度への出荷延期を発表。それから半年以上が過ぎた2018年7月現在の状況と、今後のスケジュールを明らかにした。延期の原因だった、衣類をつかんだり、広げたり、畳んだりする内部のロボットアームの形状を「この半年で全面改良した」と打ち明けた。

 その結果、課題だった衣類をつかんだりする精度が向上。さらに畳み終わるまでの時間も短縮できた。

 セブン・ドリーマーズがランドロイドの出荷を1年延期したのは、ロボットアームに弱点が見つかったからだ。ツルツルした素材やごわごわした素材、厚手の素材など特定の衣類を、ロボットアームがうまくつかめないことが判明。ロボットアームを全面改良する決断を下した。

 ランドロイドは衣類を畳むまでの工程を全て自動化している。合計5つの工程「衣類をピックアップ」「衣類を広げる」「衣類を認識する」「衣類を畳む」「衣類を仕分け、積み上げる」に変更はない。人工知能(AI)を使った衣類の画像認識技術と、改良したロボットアームの制御の組み合わせで、5つの工程を全自動にしている。

 AIもロボットアームも基本的に独自開発だ。産業用のロボットアームはコストが高すぎて利用できない。そもそも自宅で使う家電の内部にロボットアームを組み込んだ製品自体、世界初とのこと。世の中にないものは自分たちで作るしかない。

 内蔵するAIは機械学習により、衣類の画像認識精度を高めていく。5つの工程ごとに、異なるAI技術を組み合わせて利用している。

 ロボットアームが衣類を落とさず、畳みやすく持ち上げるには、画像認識で衣類の形から、衣類の種類を特定する必要がある。そのための学習が欠かせない。

 ところが衣類の形は実に様々で、かつランドロイドの内部で色々な形に変化していく。それでも同一の衣類と異なる衣類を区別できなければならない。そのため、それぞれの状態での形をした衣類画像の教師データを作り、AIに学ばせる必要があった。大変手間がかかる作業だが、他社が簡単にはまねできないノウハウでもある。

 2017年11月の会見でセブン・ドリーマーズは、ある衣類の種類の判定精度を上げる難しさを説明している。認識精度を75%まで高めるには、教師データが2万5600枚必要だった。だが75%では実用に耐えない。そこで95%まで高める学習を続けたところ、実に10倍の25万枚以上の教師データが必要だと分かった。こうした膨大な量の学習を、Tシャツやポロシャツ、パンツ、子供服、タオルなど全てで実施しなければならない。

 今後の展開だが、まず2018年末もしくは2019年初めに、ランドロイドの新製品発表会を開催する予定である。ついに世界初のランドロイドがお披露目になる。その日から予約の受け付けを開始する。

製品化にメドが立つも、185万円の家電を誰が買うのか

 ようやくランドロイドは製品化に現実味を帯びてきた。すると一番気になるのは値段だ。改良を加えたとはいえ、価格は以前からの発表通り、185万円からに据え置いた。それでもクルマ1台が買える価格だ。家電としては異例の高額な値づけである。本当に185万円も出して、ランドロイドを購入する人がいるのだろうか。

 セブン・ドリーマーズは価格の高さを十分承知の上で「これまでに先行の予約キャンペーンを実施してきたが、合計で数百件の引き合いがあった」としている。ここでいう数百件は正式な契約件数ではない。ひとまず購入の意思表示をした見込み客の数である。年末年始の予約開始で、果たして何人の顧客が実際に注文するのか注目したい。

 セブン・ドリーマーズは、かつてテレビが多くの国民にとって高嶺の花だったように、世界初のランドロイドも現在はこの価格設定が精一杯としている。だが衣類を自動で畳めるというこれまでにない便利さが世界中に伝わり、ニーズが一気に高まれば、出荷台数が伸びて価格を下げていけると考えている。

 ランドロイドの出荷開始は、2019年3月末を見込んでいる。ギリギリで、2018年度内の出荷を達成したいという考えを改めて強調した。

 今回リニューアルオープンした「ランドロイド・ギャラリー」はカフェを併設し、お茶を飲みながら試作機を見られる。ただし、展示されているのは2017年11月の会見時に出したのと同じもの。試作機としては6代目に相当する。