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 クルマに搭載された機器や自動車部品を制御するECU(Electronic Control Unit)。そのECUの設計では、各種シミュレーションを行うCAE(Computer Aided Engineering)が使われる。自動車部品メーカー大手のデンソーでは、従来、各部署がそれぞれCAEを導入していた。各ECUは担当する機器や自動車部品を制御できれば良かったからだ。

登壇した土谷直矢氏。日経 xTECHが撮影
登壇した土谷直矢氏。日経 xTECHが撮影
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 今後のクルマではADAS(先進運転支援システム)や自動運転機能が重要になる。ADASや自動運転の実現では、ECUの連携が欠かせなくなる。複数のECUの連携動作をシミュレーションしようとすると、それぞれのECUが異なるCAEでシミュレーションするのでは、あんばいがよくない。現在、デンソーでは、全社統一のCAE環境の構築・導入を進めている。それに取り組む同社の土谷直矢氏(基盤ハードウェア開発部 企画開発室 開発2課 課長)が、「Keysight World 2018東京」(キーサイト・テクノロジーが2018年7月12日、13日に東京で開催)」で講演した。講演タイトルは「設計者が真に使えるCAD/CAE環境構築への取組み」である。

 同氏によれば、CAEの全社統一の前に、実はもっと根源的な問題がある。そもそもCAEを使ったシミュレーションに拒絶反応を示す設計者が一定数いることだ。拒絶反応にはいくつかのパターンがある。例えば、実験固執派。CAEが導入される以前、検証は試作機を作ってすべて実験で行われていた。この先、CAEの普及が進んだとしても、試作・実験はなくなることはない。それならば、これまで通り、実験で行うべきという理屈。

シミュレーションに難色を示す設計者の声。デンソーのスライド
シミュレーションに難色を示す設計者の声。デンソーのスライド
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 こうした実験固執派に対しては、次のような説得を試みるという。実験で試せる条件は、予算や時間の関係で限られている。また、条件を変更する際に、試作機を作り直したり、プロービングの場所を変えるケースが少なくない。ISO 26262 ASIL Dを取得しようとすれば、さまざまな条件での検証が必要だが、それらを全て実験するのには無理がありそうだ。一方、シミュレーションならば、さまざまな条件やプローブ(観察場所)を画面上で変更すれば良く、幅広い条件での検証が可能である。